Q: 注射の説明書を見せてもらったところ、ビタミンB12にはコバルトが含まれているようですね。 A: 人体の構成を原子のレベルで見ると、炭素、酸素、窒素、水素、カルシウム、リンなどでできていることは誰でも知っています。そのほかに微量元素といわれる成分があり、文字通り微量ではあっても欠くことのできない成分なのです。その微量元素のひとつがコバルトです。 赤血球の中にある酸素を全身に送る働きをするヘモグロビンという蛋白質の中心には鉄が存在します。鉄は全身に存在するものを全部集めると4~5グラムあり微量とはいえないかもしれません。また味覚に関係のある亜鉛、そのほかマグネシウム、セレン、イオウなどがあり分析技術の進歩でその働きが解明されつつあります。そのほかにイオンの形で存在するのはナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、リンなどがあります。 Q: ビタミンB12の注射はどのくらい続けるのでしょうか A: 時々採血して治り具合をみながらになりますので、何回やれば終わりということは明言できません。ある程度は肝臓に貯蔵されますので、さほど頻繁に注射する必要はないと思います。現に術後5年は補充が必要なかったわけですから。 Q: 手術は成功だったのに5年経過した今でも年1回は通院するように言われるのは貧血チェックのためもあるのですね。 A: 胃癌はその成因がまだ解明されていません。従って残した胃の粘膜に新たに癌が発生しないという保障はありません。癌を発生しやすい胃粘膜かもしれないと仮定すると年1回の検査をしておけば手遅れにはならないでしょう。同時に採血して貧血を検査しておけば更に安心です。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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