Q: では注腸検査を受けた方がいいのでしょうか。 A: 注腸検査はファイバースコープを入れる検査と同様に下剤を飲んで腸の中を空っぽにするなどの前処置が大変で、しかも撮影のためにX線をかなり浴びなければなりません。年齢から考えて子孫に対する影響は考えなくてもいいかもしれませんが、浴びる放射線は少ないほど無難と思われます。悪性腫瘍はなかったわけですから、シクシクする痛みは腸の動きに問題があるとみなすことにして、腸内ガスが通過しやすくすることにピントを合わせて治療してみる方法があります。 Q: 腸内ガスといえば気になる点があります。私は必ず毎日規則的な排便があるとは限りません。どちらかと云えば便秘症タイプの体質かもしれません。 A: シクシクする痛みを腸内ガスの過剰発生や通過困難が原因かもしれないという仮説をたてると、対策として腸内細菌のバランスを善玉菌優位にしてガスの発生を抑制すること、腸の動きを活発にして便秘症を改善することなどが思いつきます。今回は腸腰筋(ちょうようきん)に注目して腸の動きを活発にすることを試してみてはいかがでしょうか。 Q: 聞いたことのない名前の筋肉ですが。 A: 大腿骨上部と骨盤の内側(内臓側)、大腿骨上部と腰椎の内側(内臓側)を結んでいる筋肉群で、体外からは見ることも触れることもできません。しかしその働きは重要で、姿勢を保つ、運動中に身体の位置をコントロールするなど大切な役割をする筋肉です。アスリートの腸腰筋は普通の人より2~3倍も太く発達しているそうです。この筋肉は姿勢ばかりではなく消化管の動きにも関与しているのですが、これまではあまり注目されていませんでした。この筋肉が収縮することで大腸の動きを補助的に促進しているのです。 Q: どのようにすれば自分で腸腰筋を収縮できるのでしょうか。 A: 腸腰筋は本来、姿勢を保つための筋肉としてのみ作用していますので、本人の意志は反映されません。ただ腸腰筋をある程度活発に動かす機会があれば、二次的に腸の動きにも好影響が期待できるということです。お腹の表面から‘の’の字型にマッサージをすると便通がよくなると言われていますが、腸腰筋を動かすということは、腸を後ろ側からマッサージすると考えれば理解しやすいと思います。 Q: 腸腰筋を鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか A: アスリートが行うストレッチや、気功や太極拳の運動の中には腸腰筋を鍛えるのに向いているものがあります。一般人が行う簡単なものでは、息を吸いながら膝を大腿部が水平の位置になるまで持ち上げ、次に息を吐きながら出来るだけゆっくり膝を元の位置まで戻す運動を繰り返します。左右3回ずつで初めは9回とか27回とかやれる範囲内で少しずつ増やしていくのがいいでしょう。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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