Q: 合併症はどのようなものですか A: 肺炎、中耳炎、心筋炎、脳炎などがあります。小さい子供より20歳前後以上の成人麻疹のほうが合併症が多いとも言われています。脳炎や心筋炎で後遺症を残すことになると問題です。 Q: ワクチン接種が最も大切ということでしょうか。 A: 日本でのワクチン接種ルールは第1期(1歳児)、第2期(小学校入学前の1年間)に加えて、2008年4月から5年間の期間限定で第3期(中学1年生)と第4期(高校3年生)が拡大追加されました。 以前はワクチンによる副作用が問題になり1期、2期の接種率が低下した時期がありました。その頃子供だった人たちが進学したり就職したりする年齢に達し、たまたま感染発病する機会がでてきました。 免疫の低い同年齢の人たちが集団で行動する学校や職場では集団感染の可能性があります。学校では休講の張り紙1枚で感染拡大を防げますが、職場はそう簡単には操業停止や閉鎖はできません。P君の会社の人事部も職場での麻疹発生を防ぐため、入社式前にワクチン接種の確認をしたものと思われます。 Q: 1期、2期とも接種していても成人麻疹になる人がいると聞きましたがなぜですか。 A: 昔、麻疹は終生免疫になるというのが常識でした。でも実際は年齢と共に抗体価はしだいに低下していきます。 しかし兄弟姉妹が多かった時代は下の子が麻疹に罹ると、以前麻疹に罹ったことのある上の兄姉のほか、両親や祖父母も感染します。いずれも抗体を持っているため感染しても発病はしません。むしろ追加免疫したことになり抗体価はさらに上昇します。 こうして兄弟姉妹が多く、3世代同居の時代には1回罹患すると一生発病しないということになっていました。これをブースター効果といいます。最近は少子化で麻疹ウイルスに接触する機会が減り、ブースター効果が期待できなくなり、再感染再発病の症例もあるというわけです。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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