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東京の人は雪でなぜ転ぶのか

Q: でも雪の日はみんな用心深く歩いていますが。

A: それでも足をとられる要素がもうひとつあります。それが実は手袋です。東京で通勤電車の乗客をチェックしてみると手袋をはめている人は10人にひとりも居ないでしょう。その人達が駅の外に出ると両手をポケットに入れて背中を丸めて急ぎ足で歩きます。久しぶりの雪なら寒いのでつい急ぎ足になります。そして雪に足を取られて転ぶということになります。

 最大の理由は手をポケットに入れていることです。両手をポケットに入れているととっさに身体のバランスをとることができず、足をすくわれる結果になります。

 もし両手がポケットの中ではなくフリーの状態だったら、子供の頃ドングリで作ったやじろべいの原理で、両手を広げて重心を低くする姿勢を瞬間的に取れますので転倒するには至らないと思われます。

Q: 結局寒い日もポケットに手を入れていなければある程度転倒事故を防止できるわけですね。

A: その通りです。雪道の転倒事故で最悪の場合は大腿骨骨頭骨折などで入院手術を要する結果になってしまいます。軽くすんでも手の小指の骨折や腱の切断など、しばらくの間不自由な生活をしなければならなくなります。

 とっさにバランスを取って転倒しないためには、ポケットに手を入れていたのでは間に合わないこともありますので、雪の日は手袋を愛用していただくといいでしょう。東京で雪が積もるのは春が近くなった時期が多く今年もまだ安心は出来ません。


(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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