ここから本文です

おなかがひく風邪って何ですか?

Q: 一般的な症状や経過、治療法はどうなっていますか。

A: 質問の方の症状が典型です。糞便や吐物内に含まれている大量のウイルスが経口的に侵入し、腸で増殖してまた次の人に感染していきます。普通の人なら一時的な胃腸症状ですぐ回復に向かいます。

 問題は幼少児と老人で、下痢のため脱水症状になったり、嘔吐のために誤嚥して気管を詰まらせて窒息したりして生命の危機に瀕する事態になることです。また感染力が強いので集団発生が起きやすいことです。治療はノロウイルスに対する特効薬はありませんので脱水対策と、その都度症状に応じた胃腸薬を用います。

Q: 予防法はどうすればいいでしょうか

A: このウイルスは熱に弱いので加熱した食品なら問題ありません。食品の中心部まで85度以上5分以上加熱してください。

 またウイルスは経口的に侵入します。調理前には流水で丁寧に手を洗う必要があります。洗うと濡らすは大違いです。

Q: 家族が感染した場合、どう対処すればいいでしょう。

A: 患者の吐物や糞便の処理をする時は周辺に飛び散らないように注意します。特に乾燥している吐物は乱暴に扱うと空気中にウイルスが飛び散りやすいので要注意です。

 また消毒用のアルコールや消毒用と表示されている石鹸は効きにくいといわれています。有効な消毒薬は次亜塩素酸ナトリウム(商品名ではキッチンハイターなど)です。食器、まな板、フキンなどは洗剤で洗ったあと流水で流してから次亜塩素酸ナトリウムにつけると完璧です。ただ食器の種類によっては次亜塩素酸ナトリウムに弱い種類のものもありますので熱湯をかけることが可能な材質なら熱湯処理をしてください。

Q: 他にはどのような点に気をつければいいでしょうか。

A: 他の胃腸系の伝染病においても共通ですが下痢をしたときには完璧な手洗いが必須です。トイレットペーパーはケチらず使ってほしいものです。トイレットペーパーに付着した水様の下痢便は普通のトイレットペーパー10枚くらい浸透するという実験結果があります。

 ウイルスは簡単に手指に移動し、ウイルスのついた手で身支度してトイレの鍵を開けて外に出て、水道の栓を開いて手を洗ったとしても、それまでの間、自分の衣服をはじめ手を洗うまでの間のあちこちにウイルスを置いてくることになります。このことも集団発生の原因になりやすいのです。

 トイレットペーパー使用直後に、身支度をする前に、手を洗えるようになっているのが理想的です。ただし、そのような構造になっているトイレは、ある地方の高級ホテルで遭遇したことがあるものの、一般には殆ど見たことがありません。


(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
この記事のバックナンバーを読む
前のページへ 1ページへ 2ページ
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る