Q: ドック担当医は肺機能の低下はタバコが原因と断定しています。 A: ドックで検査する項目は肺活量の検査と胸部X線写真です。もしヘリカルCTをしてあれば更に参考になります。また肺活量と同時にフローボリュームカーブが記録してあると確実です。おそらくドックの判定は肺活量の検査で行う1秒率が低下していたことを根拠に、喫煙履歴を参照して、禁煙をすすめているのだろうと思います。 1秒率とは、できるだけ胸いっぱい空気を吸い込んでから勢いよく吐きだしたとき、全て吐ききった量が肺活量ですが、最初の1秒間に肺活量の何%を出せるかを計測したものが1秒率です。COPDでは70%以下になってしまいます。 Q: 我社は敷地内をすべて禁煙とする方針が労組に提示され、組合も賛成の意思を示しており、再来年の年始から実施の予定となっています。各階の喫煙室は廃止され、タバコを吸うためだけにビル外へ出ることになりますので仕事の効率も下がり大変です。私も非喫煙者の仲間に入りたいと思いますが、最近週刊誌に内服薬で禁煙する新薬があると書いてありましたが、どんなものでしょうか。 A: 禁煙補助にガムと貼付剤が売り出されています。いずれもニコチンを含有しており、ニコチン依存状態になっている際に、ニコチンのみを補充してそれを少しずつ減量して身体を慣らしていきながら、ニコチン依存から離脱する方法です。それでも本人の強い意志がなければ成功しません。 最近発売された内服剤はニコチンを補充する方式とは異なり、脳の神経細胞にあるニコチンの受容体に作用するものです。タバコを吸うとニコチンがニコチン受容体に結合して、その結果として神経細胞からドーパミンが分泌され、喫煙した時の満足感が得られます。新薬はこのニコチン受容体に結合して少量のドーパミンが分泌されますのでニコチンを要求しなくなる、すなわちタバコを吸いたくなくなるというものです。吐き気、頭痛、便秘などの副作用がでることもあり、入手には医師の処方箋が必要で、医師の指導の下に注意深く治療する必要があります。ニコチンガムや貼付剤とは併用できません。成功率は65%くらいとのことです。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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