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患者の顔を見ない医者が急増中? その理由は?

Q: このことが、医師が患者の顔を見なくなったことにつながるのでしょうか。

A: 医師の中にもキーボードやマウスの操作が遅かったり手間取ったりする場合があります。これらの操作に必死になってしまった時など、母上のように先生は自分の顔を見ずにコンピューターばかり見ているという苦情につながっていくのだろうと思います。

 以前も患者さんのすべての情報は一冊のカルテに集められていて、最近はそれがただペーパーレスになっただけのはずでした。ところが予想外の事態です。カルテに手書きで記入したり、貼ってある検査伝票をめくったり、大きな袋からレントゲンフィルムを取り出したりなどの作業をしていた時代に比べると、液晶画面に向かって操作をしている時間が長く感じられるのだと思います。

Q: 結局IT化にうまく対応できない先生がいたということでしょうか。

A: どこの世界でも大差ないと思いますが、一部にIT化を避けたがる人がいます。自分は偉い立場の人なのだから、パソコンなどは秘書が使えればいいと考えがちな人たちもいます。本当は時代の流れについていかないのはまずいと思いつつ、今更勉強したり、若者に教えを乞ったりするのは、しゃくに障るというところが本音でしょう。

 でもコンピューターを使えない人がいるからIT化は後回しというわけにはいきません。ある病院ではコンピューターを使えない医師は関連病院へ転勤させて、IT化に踏み切ったところもありました。

Q: 今後病院はどのような対策をするのでしょうか。

A: コンピューターに任せられるものはコンピューターに任せて、どんなに多忙な大病院であってもきちんと顔を見ながら会話ができる診療環境の整備が必要でしょう。

 また、医師と患者の円満な信頼関係を維持できるような医師を育てる医学教育の充実も必要です。最近は医師不足がいわれていますが、医師の人数を増やすだけでは母上のような苦情が減るとは限りません。

 コンピューターへの入力はキーボードからローマ字入力をして漢字変換するのが一般的です。このキーボード操作をタッチタイピングで入力する訓練を中学や高校のうちにマスターしておくと、患者さんの顔を見ながらの入力も苦にならないと思います。


(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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