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天野宏の実用・漢方早わかり
慢性の疲労倦怠感と漢方

2008/06/12

 年齢を重ねてくると、人によっては体力も落ちてくる。慢性的に疲労、倦怠感があり風邪に罹りやすく、胃腸機能なども低下して食欲不振、下痢を起こしやすいなどの症状が現れる。医療機関で検査を受けても、とくに異常がなく年齢のせいといわれることも少なくない。

 疲労倦怠は全身の栄養状態の低下や精神的なストレスなどによって起こると考えられ、全身の栄養状態を良くして体力回復をはかり、精神を安定させることを目標に治療する。漢方では気のめぐりが悪い気虚(ききょ)と解釈する。よく使われるのが人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)を含んだ薬方で、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などである。いずれも補剤と呼ばれ体力を補うことを目的とする。

 疲労倦怠などに先ず考える薬方が補中益気湯である。元気がなく胃腸の働きが衰えて疲れやすい虚証の人に用いる。一般に手足の倦怠感、話す声が小さく目に鋭さがない、食欲不振、寝汗、臍部に動悸などが見られる人を目標にする。薬方に配合されている人参、蒼朮(そうじゅつ)、陳皮(ちんぴ)、甘草(かんぞう)には健胃強壮作用があり、黄耆、当帰(とうき)は皮膚の栄養を亢めて寝汗を治すと考えられている。

 十全大補湯は諸病の病後、術後、慢性病などにより体力、気力ともにおちた虚証の人に向いている。疲労倦怠感が著しく顔色が悪く食欲不振、皮膚の栄養が悪く乾燥し、寝汗などの症状を目標にする。薬方のなかの人参、蒼朮、茯苓(ぶくりょう)、甘草は健胃作用があり食欲を高め消化吸収を盛んにするといわれている。当帰、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)は補血、強壮、強心作用があり、皮膚の血行を良くし貧血を治すと考えられている。

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