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天野宏の実用・漢方早わかり
高齢者の皮膚の痒みと漢方

2008/05/15

 シャツを新しくしたり、就寝時のシーツを変えたりしたとたんに皮膚に痒みを覚えることがある。痒みはヒトにとって苦痛である。がまんできるものはいいが、夜も眠れない痒みは最悪である。睡眠不足にもなり体調が狂ってしまう。とくに日頃から発汗や皮脂の分泌が少ない中高年者ではわずかな刺激で皮膚が痒くなることがあり、悩みは大きいようである。

 皮膚の痒みは、毛髪、綿毛、昆虫などの外部刺激物質、アレルギー性皮膚疾患、薬物などのほか、糖尿病、悪性リンパ腫、肝臓病などの疾患が原因で起こることもある。

 西洋医学は原因疾患があればその治療を優先させる。乾燥による皮膚の痒みには尿素を含んだ保湿剤を塗布し、内服療法として抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などが用いられる。

 漢方では血のめぐりが悪くなる血虚、腎が虚した状態である腎虚によると考える。とくに腎虚の特徴的な症状は顔色が悪い、皮膚につやがない、眼がかすむ、動悸、不安、全身倦怠などで虚証の中でも重要である。

 高齢者の皮膚掻痒症には「当帰飲子(とうきいんし)」、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」、「白虎加人参湯(びゃこかにんじんとう)」、「真武湯(しんぶとう)」、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」がよく用いられる。

 当帰飲子は四物湯(しもつとう)に瘡疹を治す生薬を加えた薬方である。熱で血が乾燥する血燥(けっそう)を治し、風熱を解することを目的にしたもので、血燥により皮膚が乾燥し、分泌物が少なく痒みを主訴とするものによく効く。薬方に含まれる当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)は血を潤し血行を良くし、防風(ぼうふう)、荊芥(けいがい)は瘡毒を除き、熱を発散する働きがある。蒺利子(しつりし)は皮膚の痒みをとる作用があり黄耆(おうぎ)、何首鳥(かしゅう)は皮膚の栄養強壮薬である。

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