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下痢に効く漢方

 桂枝加芍薬湯は桂枝湯(けいしとう)に含まれる「芍薬(しゃくやく)」の量を増やした方剤である。桂枝湯は病が体表部にある太陽病期の治療に用いるのに対し、桂枝加芍薬湯は五臓の働きが失調し気虚、血虚の病態にある太陰病期に用いる。古人は「桂皮(けいひ)」が陽を助け、芍薬には陰を助ける働きがあり、その量を増やして太陰病の腹満、腹痛、下痢を治すと考えた。虚弱な人の腹痛、いわゆるしぶり腹で排便後もさっぱりせず、便が残っているような感じがするものに用いる。

 真武湯は新陳代謝が低下しているために水毒が腸胃に滞留し腹痛、下痢、あるいはめまい、心悸亢進などの症状がみられるものを対象にする。下痢は水様便で排便の直前、腹痛があるときに用いる。「茯苓(ぶくりょう)」、「蒼朮(そうじゅつ)」、「芍薬(しゃくやく)」、「附子(ぶし)」、「生姜(しょうきょう)」の五つの生薬からなり、附子、生姜は新陳代謝を高めて血行を盛んにして身体を温める作用がある。茯苓、蒼朮は体液の分布を調整し腸胃に停滞する水を除いて、下痢、めまい、心悸亢進を治す。芍薬には胃腸運動を調整する働きがある。

 人参湯は応用範囲が広い漢方薬のひとつで、胃の機能を高め、胃のもたれ、胃内停水を去り、血行をよくして新陳代謝を盛んにする。手足が冷えやすく尿量が多く胃腸虚弱、下痢、胃痛などがみられるときに用いられる。

 啓脾湯は虚証で食欲不振、水瀉性下痢が長びいて止まらず、時に腹痛、嘔吐を伴う時に良いといわれている。

 大建中湯は体力が低下した人で手足、腹部が冷え、腹痛があり腹部膨満、鼓腸などを目標に用いる。秋口、夏の体の疲れにより胃腸機能も低下しており、なるべく脂っこい食事、ストレスを避け十分に休養をとり体力を備えることも忘れたくない。

(天野 宏)
天野 宏 (あまの ひろし)

1971年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。日経メディカル副編集長,日経メディカル開発編集部長などを経て,現在フリーランス医療ジャーナリスト,薬学博士,薬剤師。
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