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天野宏の実用・漢方早わかり
かぜの症状に応じて漢方を使い分ける
2006/12/21

 若い頃にはかぜなどひいたことがなくても,50歳を過ぎて一年に二度も三度もひくと老いをひしひしと感じるものである。

 かぜの症状は寒気,鼻水,鼻汁,喉の痛み,咳き,痰,発熱などさまざまである。ひきはじめは頭痛,悪寒,発熱で,この時期に無理をせず適正に治療すれば治っていくが,こじらせると,喉頭,咽喉,気管支に炎症を起こし下痢などの胃腸障害を起こしてくる。

 西洋医学では一般に安静,保湿,水分補給などを行いながら対症療法を行う。鼻が詰まり,喉の痛みがあれば抗炎症薬,咳きには咳止めを,膿性痰がみられ咽頭が赤くなれば抗菌薬などを使う。

 漢方では「病期」と「体力」に応じて,いくつかの薬方を使い分けていく。

 体力のある人のかぜのひき始めには「葛根湯(かっこんとう)」「葛根湯加川芎辛荑(かっこんとうかせんきゅうしんい)」「麻黄湯(まおうとう)」「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」を,体力が落ちている人には「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」「香蘇散(こうそさん)」などを用いる。

 葛根湯は,かぜの初期症状である発熱,悪寒,頭痛,項,頸部のコリがあるときに用いる。葛根湯加川芎辛荑は,葛根湯に「川芎(せんきゅう)」と「辛荑(しんい)」を加えたもので鼻炎の症状が残ったときによい。

 麻黄湯は,体力がある人で顔が赤く高熱だが汗はなく,身体に筋肉痛があるときに使う。小青竜湯は,鼻汁,くしゃみ,鼻づまりの症状があるときに有用である。

 麻黄附子細辛湯は,若い人でも比較的,虚弱な人のかぜの初期に用いる。薬方に,血行を盛んにし体を温める働きがある温薬の「附子(ぶし)」と「細辛(さいしん)」が含まれており,悪寒が去り,気力が回復すると考えられている。

 香蘇散は,比較的体力が低下した人で胃腸が弱く神経質な人を対象にし,高齢者のかぜの初期によく使われる。

 香蘇散を除くいずれの薬方も「麻黄」を含んでおり,とくに胃腸が弱い人では悪心,下痢,腹痛を起こすことがあるので注意がいる。

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