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健康診断を上手に使う
第8回 近隣で主治医を見つけよう
2006/06/28

 だいぶ前の話ですが,知り合いの有名な女優さんから電話が。「先生,私もとうとう癌になっちゃった,とにかくドックの結果をみてほしいから今から行くから」。こちらの都合も聞かずに電話を切って30分後,ドックの結果報告書をもって現れた彼女は,華やかな世界の人とは思えないほど深刻な顔つきでした。

 早速封筒を開けてみて,私が「どこに癌って書いてあるの?」と聞くと,「そこに胆嚢ポリープって書いてあるでしょっ!」。あぁ確かに。「でも癌とはどこにもかいてないよ」。すると彼女は,「ポリープって癌のことでしょ」。

 そこで私はハッと思い出しました。彼女の父上が胃癌で亡くなったとき最後まで癌であることを伏せて胃ポリープで押し通したことがあったのです。でも遺書には,「癌であることは分かっていたが家族も先生も癌ではなくポリープだと説明してくれた。何とか癌ではないと思わせる涙ぐましい努力がありがたかった・・・」といった内容のことが書いてあったのです。

「ポリープ=癌」ではない

 昔は不治の病だった癌も最近は医学の進歩で致死率はかなり低下しました。もちろん日本人の死亡原因トップ3には入っているのですから,決して甘くみるわけにはいきません。しかし,最近は殆どの場合に癌であることを告知するようになってきました。それは治療法が進歩して選択肢が増え,治療には患者さん自身の協力と意思決定がどうしても必要になってきているからです。

 話を元に戻しましょう。

 私は,「報告書はちゃんと読んでよ。胆嚢ポリープ,大きさ2mm,経過観察で可と書いてあるでしょ。癌なら経過観察ではなくすぐ呼び出しになるはずなんだから」と説明して,彼女も納得しました。彼女の脳には,「ポリープ=癌」としっかり刷り込まれていたための大変な誤解だったことが判明したわけです。

 以上の話は,単に彼女の思い違いや思い過ごしだと処理できない要素を含んでいます。

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