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第7回 再検査/追加検査/精密検査と言われたら

再検査で改善策の成果を確認する

 γ-GTと尿酸がいつも高めの58歳のP部長は,今年の健診は更に2割増しの値になりました。しかし,仕事の性質上,週4日の宴会は避けて通るわけにはいきません。

 そのP部長,ドイツ駐在が長かったためビールにはちょっと詳しいのですが,肝臓病の怖さと痛風の痛さも十分承知していました。ベテラン保健師のSさんの助言で,しばらくの間ビールは乾杯だけにして,ウーロン茶と焼酎のオンザロックを舐めるだけで,酔ったフリをすることで1カ月過ごすことにしました。1カ月後のγ-GTと尿酸は,なんと両者とも基準範囲の上限にまで低下していました。

 40歳のOLのQ子さんはとにかくおやつが大好き。出張のお土産が置いてあると笑顔が絶えません。賞味期限切れでも全く気にせずどんどん胃袋に放り込みます。健診では中性脂肪が高めでHDLは低め,BMIは右肩上がりが続き,制服のスカートのファスナーをうまく上げるのが毎朝の大切な仕事です。今年は,ついに心電図に所見が出て産業医面接になってしまいました。

 「おやつは食べてもいいけど,半分は隣の人にあげて下さい。毎日昼休みに健康管理センターに来て体重を測って下さい。体重データは自分でエクセルに入力して表とグラフにして,来月持ってきて見せてください」(産業医氏)。

 そして4カ月後,Q子さんの体重は4kg減りました。体重を記録するだけで,おやつの食べ過ぎに対する自制心が利いて減量につながるのです。一種の心理療法なのでしょう。Q子さんは体重が減ったお礼といって,巨大なシュークリームをたくさん買い込んで健康管理センターに持ってきました。どうしても自分の好きなものをプレゼントしたくなるもののようです。

 そのQ子さんは,「なにしろ制服のサイズを変えることになると総務課のZ子に私のスリーサイズが知れてしまうのがいやだったので助かりました。先生来週にでも心電図とって下さい」と申し出ました。結局,そのときは心電図の取り直しはしませんでしたが,1年後の心電図には前年異常とされた所見は消失していました。

 再検査はむやみにやればいいというものではありません。なにかいいことをしてから,その成果を確認するためにやるのがいいのです。

(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)


筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後,虎ノ門病院病棟医・専攻医,順天堂大学呼吸器内科講師,伊勢丹健康管理センター所長を経て,東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医,21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員,日本サルコイドーシス学会理事・幹事,日本呼吸器学会専門医,日本内科学会認定医,日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」,「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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