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第4回 数値は時系列でみる~基準値内でも異常がわかる~

過去データから基準値内でも異常がわかる

 総コレステロールは動脈硬化につながるデータのひとつとして有名です。最近はLDLコレステロールのほうがより動脈硬化に直結することが分かってきました。ここでは一応総コレステロールで説明します。通常基準値は140~240mg/dlとなっています。

 しかし,健康な人は,毎年測定していると,この基準値のなかの比較的狭い範囲に測定結果が存在します。これを個人基準値とか個性値とか表現することもあります。個性値は数学の専門家に聞くと6回分のデータがあると計算可能ということで,レベルの高い企業内健康管理センターでは個性値も算出して判定の参考にしています。

 例えば,ある人の総コレステロールの個性値が185~210mg/dlだったとすると,ある年の総コレステロールが230mg/dlだったら普通の基準範囲ならセーフということで何の問題もなしと判定されます。しかし,個性値からは外れているわけですから,その人の身体になにか異変が始まっているかもしれないとう推定もできます。これにより,普通の基準値を超えてから対処するよりも早く,なにか異常が始まりつつあると判断して必要な措置につなぐことができるわけです。

 特に普通の基準範囲内でも個性値を2回,多い方向か少ない方向に外れたら,病気の始まりを念頭に検査をしてみる価値があると思われます。

 最近は数字ものの検査結果は検査機関が異なっても,結果の数値が比較できないほどの誤差は生じません。どこでも標準化方式で測定するようになってきたからで,転勤しても転職しても,過去のデータが無駄になることはなくなってきました。

 現にひとりの人の血液を多数の検査センターや大学・病院の検査室に測定してもらうテストをしてみると,測定結果はピッタリ同じというわけではなくても,差は許容の範囲内の結果になります。検査結果は将来のためにも大切に保存しておくことがお勧めです。

(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)


筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後,虎ノ門病院病棟医・専攻医,順天堂大学呼吸器内科講師,伊勢丹健康管理センター所長を経て,東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医,21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員,日本サルコイドーシス学会理事・幹事,日本呼吸器学会専門医,日本内科学会認定医,日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」,「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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