ワクチンの普及が遅れている日本
日本で発表された肺炎球菌ワクチンの有効性に関する研究でも、血清抗体価は5.5~20.9倍と上昇し、一般にワクチンをしても抗体価が上がりにくい80歳以上の超高齢者、ステロイドホルモン常用者でも十分抗体が上がることも確認されました。 こんないいワクチンなのに日本での普及が遅れている理由はどこにあるのでしょうか。まずひとつには、1回目と2回目の接種の間隔が5年以上なら問題ないのですが、それより短いと注射部位にアレルギーの反応が強くでることがあり、このことを医療側が必要以上に懸念したこと、そしてもうひとつは公費助成がないため、5年に1回であるにもかかわらず出費が多いと感じてしまうことなどがあげられます。 ただアレルギー反応は最近の23価のワクチンではあまり重要視しなくてもいい程度に改良されており、5年の間隔をおけばほぼ問題ありません。 また一部の市町村では6000~8000円の費用の半額程度を助成するところも増えてきました。わずかな投資で国民総医療費の節減につながることは明らかになってきたわけですから、ハイリスクグループの人たちだけにでも積極的に公費負担を考える時期にきていると思われます。 健康エビデンスシリーズは今回でいったんお休みさせていただきます。ご愛読ありがとうございました。 同じ筆者による新しいシリーズを来年2月から開始します。お楽しみに(編集部)。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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