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第99回 ひどい咳と吐き気、大人の百日咳に注意

百日咳菌に感染することで発病

 百日咳は百日咳菌という細菌に感染することで発病します。初夏から夏に多く、1週間から10日程の潜伏期間の後、かぜ様症状で始まります。そして次第に咳の回数と程度が悪化していきます。百日咳の咳は非常に特徴的で、咳が連発して息を吸うこともできない程なので、ある瞬間、咳が途切れたときに勢いよく息を吸うため、ちょうど海女さんが海底であわびを採って海面に浮上したときにヒューと音をだして息を吸う、あの音によく似た声を出して、苦しそう呼吸します。

 連発する咳のために腹筋が痙攣的収縮するため、しばしば嘔吐を伴い、咳と嘔吐のため全身が消耗します。ただ1歳前後までの乳児では、咳らしい咳ではなく呼吸が止まったようになってしまうこともあります。また成人では単なるカラ咳がでる程度の状態が長期間続き、結核ではないかと心配することもあります。

 診断は特徴ある咳のほか、鼻咽頭の粘液を特殊な培地で培養して顕微鏡で菌をみる、血液に抗体を検出する、PCRなどの方法をとります。

 診断が確定的なら治療は抗生物質を使います。マクロライドという種類の抗生物質がよく効きます。症状がとれても2週間くらい投与します。幼少児では咳と共に嘔吐があるため内服では抗生物質が十分量入らない可能性もあり、また嘔吐による脱水にも対応する必要性から輸液を兼ねて抗生物質も点滴で入れることもあります。

 家庭や学校で百日咳患者が発生し、濃厚接触した人には発症前に抗生物質を予防的に服薬させることもあります。前述の四国の大学では全学休講を10日ほど実施したそうですが、一般社会ではこのような処置は無理なので、予防内服ということになるのでしょう。


(鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール

鷲崎誠(わしざき・まこと)
医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長を経て、東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医、21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員、日本サルコイドーシス学会理事・幹事、日本呼吸器学会専門医、日本内科学会認定医、日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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