制度や体制があるだけでは完璧ではない
Kさんに後になって当時を振り返ってもらうと,ウチの会社はメンタルヘルスに対する体制はかなり完備されていたのにそれを思い出すことも,産業医にSOSすれば必ず何とかしてくれるはずだということすらも思いつかなかったということでした。 このKさんの言うことは健康管理をする者,人事を担当する者,社内制度やルール作りの担当者などにおおいに教訓になるものです。制度や体制があるだけでは完璧ではなく,S課長のようなセンスのいい上司の気付きが,イエローサインを出している部下を救うことにつながることになるといえるでしょう。 Sさん,Kさんと産業医の3人は同窓会と称して半年に1回くらい飲み会をしています。退社時間を待ちかねるようにして楽しそうに出かけていく3人を見て受付嬢達は,「あの人達いったいどこで同窓なんだろう」と噂しています。 (鷲崎 誠=東京地下鉄株式会社保健医療センター所長)
筆者プロフィール
鷲崎誠(わしざき・まこと) 医学博士。昭和大学医学部卒業後,虎ノ門病院病棟医・専攻医,順天堂大学呼吸器内科講師,伊勢丹健康管理センター所長を経て,東京地下鉄株式会社保健医療センター所長。虎ノ門病院健康管理センター非常勤嘱託医,21健医総研主任研究員を併任。日本産業衛生学会代議員,日本サルコイドーシス学会理事・幹事,日本呼吸器学会専門医,日本内科学会認定医,日本人間ドック学会認定指定医。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」,「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。
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