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自分で健康を守る100の知恵
老人性難聴 補聴器を“適時適所”で使いこなす

2007/10/18

 難聴は、いわゆる“耳が遠い”状態だが、その患者は日本中に約600万人もいると推定されている。中でも難聴者の大半を占めるのが、加齢によって音が聞こえにくくなる老人性難聴。この難聴は、内耳や大脳の聴中枢の機能低下のために起こる。

耳の仕組み

 耳の中の内耳と呼ばれる部分には、形がカタツムリの殻にそっくりな蝸牛(かぎゅう)という器官がある(右図参照)。蝸牛の中はリンパ液で満たされ、鼓膜と3つの骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)で増幅された音の振動は、蝸牛内のリンパ液を通じて、音の受容器である有毛細胞に伝わっていく。有毛細胞は先端に毛のある細胞で、リンパ液から伝わってきた音の振動によって毛が動くと、その微細な刺激が蝸牛神経(聴神経)によって脳に伝えられる。老人性難聴では、主にこうした内耳の精巧な機能が低下してしまうのだ。

自己診断をせず、まず検査を

 「人によって有毛細胞の毛が少なくなったり、あるいは一部の神経が脱落したりするなど、さまざまなパターンの損傷や機能低下が内耳や聴神経などに起こります」

 こう懇切に説明してくれるのは、関東労災病院(神奈川県川崎市)で長く補聴器外来を担当する耳鼻咽喉科・杉内智子副部長(感覚器センター医長)である。

 小さい音が聞こえにくくなるばかりでなく、大きい音が必要以上にうるさく感じられるのも、老人性難聴の症状の1つだ。内耳の細胞が弱っているために大きな音にも過敏になり、うるさく感じて、聞き取りにくくなる。要は、快適に聞こえる音の範囲が狭まってしまうのだ。

 もっとも、年を取って耳が聞こえにくくなったからといって、自分は老人性難聴だとすぐに自己診断するのは禁物だ。難聴には大きく分けて伝音難聴と感音難聴の2種類があり、外耳や中耳の損傷や炎症が引き起こす伝音難聴ならば、手術を含めた治療によって聴力の回復が可能なのである。老人性難聴は感音難聴(内耳や神経の障害)の1種だが、治療によって聴力を取り戻すことはできないため、場合によっては補聴器の利用を考える必要がある。いずれにしても、専門医の検査を受けて、自分が老人性難聴かどうかを、まずはっきり知ることが大事だ。

 聴力検査で、難聴の程度を測るための音の大きさの単位がデシベル(dB)である。0(ゼロ)デシベルは若く健康な耳が聞くことのできる最も小さい音を指し、100デシベルは通常の人間がなんとか我慢できる最大の音とされる。ちなみに、環境基準で定められた住宅地の騒音は昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下だ。

 難聴の程度を、聴力レベル(聞こえる音の大きさ)の範囲で示したのが上の表である。どの聴力レベルになれば補聴器が必要だというはっきりした基準はないが、難聴の専門医の間で一応の目安になっているのは「約40デシベル」だという。最近では、これくらい軽度のうちから補聴器を使ったほうが、有益なことが多いと言われている。ただ、身障者福祉法によって補聴器の支給が受けられるのは、70デシベル以上の高度な難聴者の場合だ。軽度〜中等度の難聴の場合、聴力検査などにはもちろん健康保険が適用されるが、補聴器そのものの費用は自己負担となる。

*dB=デジベルは音の大きさ(音圧レベル)を示す

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