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第1回 お風呂場のトレンドキーワードは省エネ!〜『魔法びん浴槽』『PRECIO』開発物語〜

魔法びんのようなお風呂があれば…

 そこへ“真冬でも6時間経っても2℃しか温度が下がらない”夢のようなバスタブが登場したのは2004年8月のこと。TOTOが2年半の歳月をかけて開発した『フローピア魔法びん浴槽KGシリーズ』がそれである。

カラリ床の構造
床表面に刻まれたパターンが水の流れを誘導して,翌朝には床が乾く『カラリ床』。汚れがつきにくく,滑りにくい

 二重構造の断熱材で冷気をシャットアウトした省エネで保温性抜群のバスタブは,発売直後からメーカーの予想を2〜3倍も超えた注文が殺到。バスタブのトレンド商品として,世間からも大きな注目を集めた。今ではすべてのTOTOのシステムバスに,水はけがよくカビの繁殖も少なく,滑りにくい『カラリ床』と共に,標準装備されるようになった人気のバスタブである。

 「発売直後というのは普通,認知が進まずあまり出荷が伸びないものなのですが,魔法びん浴槽という名前が“冷めにくいお風呂”という商品特徴をイメージさせやすかったことで市場の認知が早く進んだようですね。また,TOTOのシステムバスに,価格据置きでつけたことがヒットの理由と分析しています。エコロジーかつ経済的なので,新婚さんから家族の多い世帯,定年後のご夫婦まで幅広い層に支持していただいています」(TOTO広報室)。

TOTO『フローピア魔法びん浴槽KGシリーズDタイプ 1坪サイズ』
TOTO『フローピア魔法びん浴槽KGシリーズDタイプ 1坪サイズ』
写真は132万8250円(工事費別)

 この『お風呂は冷めるもの』という常識を打ち破った画期的なバスタブはいかにして誕生したのか。それは浴室開発部の北角俊実さんが,仕事で疲れ果てて帰宅して,温かいと思い込んで入ったお風呂で,上はお湯だが,下は凍るような冷たさに,妙な違和感を感じたところから始った。

 「小1時間もすればお風呂は冷めるもの。だがもしも,いつも掛け流しの温泉のようなお風呂があったら生活は劇的に変わるだろう。そんな贅沢をしなくてもお風呂が冷めなければ,いつでもたっぷりのお湯ではないか,そうだ,まるで魔法びんのようなお風呂を開発しよう」(北角さん)。

 これが魔法びん浴槽開発のきっかけだった。

 それ以前にも,保温性能を謳ったお風呂は,他社はもとより自社商品にもあった。しかし,人の体感温度で『冷めていない』と感じられる温度は,2℃程度までである。午後6時に42℃で張ったお湯にまず子供たちが入り,夜12時頃に帰宅したお父さんが入っても40℃のお湯がたっぷりなくてはいけない。過去のものはどれも,「冷めない」と言い切れるほどの保温性能のものではなかった。“本当に冷めないお風呂ができたらすごいが,業界的にはお蔵入りのアイデア”であったという。


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