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本当にやりたい仕事って何
コレクションを生かして個人美術館を開館<その2>〜開館から20年、1500点の作品が人生を物語る〜
2008/09/16

 趣味の版画コレクションをもとに山中湖に個人美術館を開いた竹内泰人さん(59歳)。前回は、思いもかけないことから、エリートサラリーマンの職を辞して、美術館の運営に転身するまでを紹介した。働き盛りの39歳にしての転身だった。

 バブル絶頂期から消費減退社会の今日に至るまで、難しいといわれる美術館の経営で生き残れたことにはわけがある。今回は、資金面や運営について聞いてみた。

バブルに乗り初期費用は6年で完済
多くの人に作品をみてもらいたいと始めた美術館

 竹内さんの「山中湖美術館」が開館したのは1988年。ちょうどバブル経済真っ只中だった。地方の観光地は活気づき、リゾートマンションや別荘がもてはやされた。地方美術館も行政、企業、個人によるものと、乱立の時代を迎え、観光地には必ずいくつかのアートの拠点ができた。富士五湖エリアにもいくつもの美術館ができ始めていた。

 山中湖も若者を中心とした観光地・別荘地として、観光客が右肩上がりで増えた時期にあたる。「山中湖では初の美術館ということもあったのでしょうが、思いがけず来訪者が多く、この小さな美術館に年2万人もの人が訪れました」と、竹内さんは当時を振り返る。

 おかげで、土地500坪と建物にかかったローンはわずか6年で完済した。時代がよかったのだ。だが、竹内さんは勢いに乗って美術館を拡張することはなかった。「この美術館は夫婦ふたりでやる仕事と決めていました。当時は、絵を見てもらうのが嬉しくて、毎月展示替えをしていたのですが、すべて夫婦でやりました。館内には小さなカフェも併設していて、ここは妻の担当。人を雇ったり、施設を広げたりすることは考えていませんでした」。

 あくまでも家族で運営できる個人美術館を目指した。当時の舞い上がったような状況を冷静に捉えることができたのは、竹内さんが儲けるためにだけ、美術館を始めたからではないからだろう。これが後々、幸いした。


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