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本当にやりたい仕事って何
障害者のコミュニケーション活動を支援する<その2>~障害者の世界と可能性を広げるITサポーター~
2006/11/14

 ITの本質的な価値はコミュニケーションの可能性を拡げることにある。そもそもIT機器は人間の能力だけでは足りない部分をサポートするために存在する。ならば,身体的もしくは知的な障害があるからといってITを利用できず,社会的なハンディを背負うようなことがあってはならない。むしろ,障害を持つ人たちに活用してこそ価値があり,本来の真価を発揮する。

 各都道府県に設置されている障害者ITサポートセンターは,そのような趣旨のもと,障害者のIT活用を支援する機関だ。そこでは約50名がITサポーターとしてボランティア活動をしており,そのうち約半数が50歳代以上のセカンドステージ世代だ。男性がやや多いというのは,技術系のボランティアだからだろうか。

 前回は,東京都障害者ITサポートセンターの役割と,障害特性に応じた多様な入力支援ツール,ITサポーター養成講座の仕組みを紹介した。今回は,実際にITサポーターとして活躍する山本栄子さん(50代)の活動を紹介する。

きっかけはアメリカでのボランティア体験

 20代にアメリカで留学生活を送っていた山本さんは,周りが自然にボランティアを行う環境の中で,自身もボランティア活動を行うようになっていた。実際に,高齢者や障害者との関わりあう中で,ボランティアが社会に根づく社会のあり方と,ハンディを背負った人々に支援の手をさしのべることの大切さを痛感した。

山本栄子さん

 帰国すると,コンピュータメーカーに就職。パソコン事業部の研修部門に在籍していたので,音声入力ソフトのデモやイベントなどの仕事を通じて,障害者のIT活用支援に間接的に関わる機会も多かった。20年間務め上げた後,この辺りで今の仕事はひと段落させたいと早期退職を決心。そして,自分の人生を振り返り,では,何がしたいかと考えたときに,山本さんの頭には二つのことが思い浮かんだ。

 「ひとつは,今までの仕事を生かしてパソコンを使って何かをしたい,ということでした。それから,アメリカ留学時代の経験もあって,何らかの形で福祉に関わりたいと,ずっと思っていたんです。これが二つ目。いろいろ試行錯誤しながら,この二つを結びつけた仕事を探していたとき,今の“障害者のIT活用支援”という仕事に出会い,ここに落ち着いたというわけです」。

 手始めに,地元の品川区で障害者にパソコンを教えるボランティアグループに参加した。このボランティアグループは今ではNPO法人に発展した。山本さんは今でも,そのメンバーとして地元の品川区や同センターで活動を継続中だ。

 そうしているうちに,東京都障害者ITサポートセンターの存在を知った。コンピュータ会社勤務や地元でのボランティア活動の経験から,障害者のIT活用支援に関する知識はひととおりあったので,躊躇することなくITサポーターに応募した。とりあえずパソコンは使えるという人に比べれば,スムーズに実地の活動に入ることができたと思う。とはいえ,支援活動の難しさは別のところにもあり,実際の活動では,それを痛感することになった。

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