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本当にやりたい仕事って何
国際交流の架け橋に<その1> ~長年培った観光のノウハウを生かしたい~
2006/05/09

 みなさんは,パキスタンという国の名前を聞いて何を想像しますか?

 ターバンを巻いた男性や,黒い布で顔を隠した女性を思い浮かべる人は,イスラムの国々の生活や風俗をテレビで観た記憶があるのだろう。インダス文明やガンダーラ美術の数々を思い浮かべる人は,古代の歴史や美術品に目のない人なのかもしれない。

 しかし,パキスタンに観光旅行に行ったという人はそう多くはないに違いない。そんなパキスタンへ,JICA(独立行政法人国際協力機構)からシニア海外ボランティアとして派遣され,ホテルサービスの向上,観光施設のインフラ支援のために活動してきたのが木村亮彦さん(66歳)だ。

 インダス文明発祥の地で民間のボランティアが果たした役割を追ってみると…。

国際会議の誘致で観光産業を育てる

 工業や産業がまだ発展していない発展途上国が,費用をかけないで外貨を稼ごうと思えば,自国の自然や文化,風俗を外国の人たちに見てもらう,いわゆる観光客の誘致であることは,誰もが納得できることだ。パキスタンもその例にもれず,観光客を増やして外貨を稼ぎたいと願う国のひとつである。

木村亮彦さん

 パキスタンにも観光事業を推進し,観光客の増加をはかる観光省がある。長年,旅行業や観光業に携わってきた木村さんは,そんなパキスタン政府にとって,願ってもない民間ボランティアだっただろう。

 木村さんのキャリアの振り出しは,旧・交通公社だ。ここで長年,旅行業務に携わっていたある日,国土交通省に出向を命じられる。「32,3歳の頃でしょうか,終戦後,当時の日本は,現在のパキスタンと同じように,外国,特に欧米から多くのお客さんに来てもらい,外貨を獲得したいという方針をとっていました。当時,1ドル360円の時代でしたから。それが国策だったのです」。

 日本を訪れた人が,できるだけ長く滞在してくれれば,当然,多くの外貨を稼げることになる。そこで,単なる観光以外に多くの人を誘致する方法が何かないかと知恵を絞った。そして,企画されたのが国際会議の開催だ。

 国際会議は短くても5日間ほどの期間を必要とする。その間,参加メンバーはホテルに宿泊し,街で買い物をし,食事をする。それで,日本に外貨を落とすのだ。さらに会議が終われば,出席したメンバーも観光をしてから帰国しようという気になり,2,3日は滞在を延期する。これは,通常の観光旅行の客を集めるよりは,外貨獲得のメリットが大きい。

 それを実行するため,当時は国土交通省の一員として,学術団体に学会の開催の根回しを行うのが,木村さんの仕事だった。

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