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本当にやりたい仕事って何
シニア技術者のシーズを生かす<その1> 挫折から始まったSCE・Netの軌跡
2006/01/31

 会社での経験と能力を生かしてリタイア後は社会貢献したい。そんな意欲を持っている人も多いだろう。問題はシーズとニーズをマッチングさせるチャネルだ。

 主に化学関係のリタイアしたエンジニアで構成されるSCE・Net(シニア・ケミカル・エンジニアズ・ネットワーク)は,2000年4月に発足した。個人のシーズと企業におけるニーズの出会いの場を創り出すことを目指した活動を行っている組織だ。この分野では先駆的な取り組みであり,軌道に乗せるには苦労もあったが,着実に成果を上げている。

個人のリソースと企業の課題をウェブが媒介

 東レで技術開発に携わっていた岩村孝雄さん(72歳)と,日揮でプラントエンジニアリングに従事していた松村眞さん(67歳)はSCE・Netの創立メンバー。岩村さんはSCE・Netの代表幹事を,松村さんは幹事を務めている。発端は,退職した化学関係のエンジニア7~8人が集まった時に,何とか自分たちの意欲と能力を生かせる場を創れないだろうか,と話し合ったことだった。

岩村孝雄さん

 「会社という組織を離れても,個人としては,長年の実務を通じて培ったリソースを活用したいという意欲を持っています。一方で工業界を見ると,必ずしも技術伝承がうまくいっていない。多くの会社で人材が不足していて,生産管理や技術開発の分野などで解決すべき課題に直面している。主にウェブを媒介として,そういう企業側のニーズと個人側のシーズを結びつけたらどうか,と考えたわけです」(松村さん)。

 「まだまだ元気で頑張れるのだから,何かできないだろうか,というのがスタートですね。しかも技術者ですから,どこかにニーズがあるに違いない。そのニーズにマッチングするような仕組みをつくろう,と。おカネをどうするのか,どんなふうにニーズを集めるのか,組織の設計をどうするのか,勉強会を重ねて,決めるのに半年くらいかかりました」(岩村さん)。

松村眞さん

 試行錯誤の末,出来上がった仕組みは,ニーズ側の企業とシーズ側の個人の双方が入った会員組織となった。どちらにせよ,まずは会員登録が前提となる。いくつかの技術カテゴリーを作り,個人会員は得意領域に応じて登録する。法人会員は抱えている課題を提示する。

 カテゴリーに登録した人は固有情報を無償で提供する。これが第一段階。第二段階は,安価でオープンな形での期間限定のアドバイス。それがうまくいったら,あとは案件単位で契約する。

 年会費は個人2000円,法人3万円。ネットワークを維持できるぎりぎりのラインにおさえた。目的は社会貢献であり,組織として収益を上げることではないからだ。「お互いにリスクを回避するため,化粧品のように最初は無料お試し期間があって,段階的にマッチングさせるプロセスを取ったわけです」(松村さん)。

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