ここから本文です
本当にやりたい仕事って何
夫婦二人三脚で地ビールと野生酵母パンの手づくり工房<その1>
2005/11/14
馬場さんと奥さん。店の前で

 事業としての採算性と,本当にやりたいこと--この二つを秤にかけて,うまくバランスをとる。それが,セカンドステージでの起業の理想だ。しかし,現実にはなかなか難しい。ささやかなりとも,「夢」を実現したい。その一方で,過大なリスクを負うのは避けたい。まがりなりにも事業であれば,採算は合わせたい。どうしたらそれを実現できるのか。

 ひとつのチャレンジを紹介しよう。東京近郊の山里の町で,地ビールと野生の酵母パンを製造販売する「麦雑穀工房マイクロブルワリー」の馬場勇さん(59歳)と妻の和江さん(55歳)だ。定年まで10年余を残して大学助教授の職を辞し,念願の“百姓暮らし”を生業にした。

生まれ故郷のおいしい水と空気に引き寄せられて

 子育ても一段落した11年前,馬場さん一家はおいしい水ときれいな空気,豊かな自然環境を求め,勤務先の大東文化大学(東松山市)に近い埼玉県小川町に転居した。クルマで30分ほど行けば,生まれ故郷がある。自然と引き寄せられるものがあったのだろう。

 「生家は麦作農家でした。幼い頃はうどんが主食で,学校に持っていく弁当も米は少しで大半が押し麦。炊くと米は下に沈むから,その沈んだ米を兄貴たちが弁当に入れて持っていく。末っ子の私は,ほとんど麦を食べていました。だから今でも,体質的に米よりも麦のほうが合ってるんです」。

 ビールとパン。どちらも麦が原料だ。どうやら,野田さんの起業は,子どものころから体にしみついた縁がもとになっているようだ。

 小川町に転居してすぐ,畑を借りて耕し始めた。自給用に野菜でも作ってみようと思った。畑が3面に増え2反近くになると,小麦と雑穀も栽培するようになった。小麦は収穫しても製粉しなければ,うどんやパンにならないので,業者に頼むことにした。

馬場さんの小川町の自宅

 ところが,思わぬ問題が起こった。

 「農薬はもとより,化成肥料も使わず,できる限り自然の力だけで作物を育てるのが私のやり方。欲を言えば雑草も取らない,耕しもしないのが理想です。しかし,なかなかそうもいかないので,裏山からクヌギの葉を集めてきて,堆肥にして畑にまく。そんなふうに,自分で栽培した小麦を製粉所に持っていったんです。ところが,製粉所の機械の縁には,それ以前に製粉した他の農家の小麦がへばりついてる。すると,どうしても,農薬や化学肥料を使って育てた小麦と混ざってしまうんです」。

1ページ 2ページへ 3ページへ 次のページへ
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る