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本当にやりたい仕事って何
ハイリスクの夢を実現させたモノづくりへの情熱<その2>
2005/08/30

 前回は,定年を迎えた工藤敏之さんが未知の分野で起業し,今までにない3輪自転車「トライク」を世に出すまでを紹介した。苦労を重ねて生み出した製品のユニークさは,革新的な技術だけにあるのではない。障害や年齢に関係なく,誰もが自転車で走る爽快感や感動を味わえるユニバーサルな乗り物だったからだ。

ゆっくり走れて,坂道も楽々を実現した技術

 トライクが今までにない乗り物であることは,実際に乗ってみると,よくわかる。自転車に乗れない人でも,すぐ乗れるからだ。逆に,自転車に乗れる人のほうが,かえって,最初のうちは戸惑う。

 普通の自転車でカーブを曲がる時には,身体は曲がる方向と逆に傾ける
。体は自然にそう覚えている。ところがトライクは,曲がる時には曲がる方向に素直に身体を傾ければいい。これが戸惑う原因だが,実はここにトライクの秘密がある。

 「自転車に乗っていて右に曲がる時に左へ身体を傾けるのは,それでバランスを保っているからです。そうしないと倒れてしまう。自転車はバランスをとるために,前へ進もうとするエネルギーを絶えず左右に捨てながら,その余力で走る乗り物なんです」。

ハイリスクの夢を実現させたモノづくりへの情熱<その2> 前を2輪で支えれば,バランスをとる必要がなく,エネルギーが左右へ逃げない。ペダルをこいだ力を100
%前進に使えるのだ。そのかわり,ハンドルを切ると前輪の摩擦抵抗が2倍になってしまう。

 「それを解消したのが,パラレル・リンク・システムです。ハンドルを切ると前2輪と後輪がその方向に同時並行して傾斜する仕組みです。車輪を寝かせることによって,摩擦抵抗を少なくしているわけです」。

 安定性が高く倒れないから,歩くのと同じくらいゆっくり走れる。エネルギーのロスがないので40~50キロまで加速できる。つらい坂道も楽々と登っていく。普通の自転車ではお手上げの雪の坂道さえ,電動アシスト自転車と変わらない脚力で登ることができる。こうして自転車を超えた,人力で動く新しい乗り物が誕生した。

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