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本当にやりたい仕事って何
団塊/シニア世代の新しい働き方“派遣”<その1>
2005/06/23

 主に女性を中心とした就業形態だと思われてきた“派遣”が,シニア層にも広がってきた。派遣は採用側にとって,即戦力となる人材を比較的安い賃金で,コストをかけずに採用できるという利点がある。一方,働く側にも,時間的にゆとりのある生活を確保しながら,今まで培った経験や専門性を,それを必要としている会社で生かせるというメリットがある。

 しかし,終身雇用が当たり前,転職経験すらほとんどない団塊やシニア世代にとって,今まで“派遣”は他人事。安心して働けるシステムなのかという疑問や不安がつきまとう。そこで,今回は,シニア派遣の現状を探った。

中高年専門の派遣業者が登場

 まず,50代,60代のシニア派遣に力を入れている主な会社をリストアップしてみた。

 ・パソナ
 ・テンブロス(テンプスタッフグループ)
 ・オリックス人材
 ・グッドウィルシニア
 ・ヒューマネジメントジャパン
 ・ソフトパワー
 ・トラスト 
 ・スタッフアイ 
 ・ジャパンアウトソーシング

 比較的早くからシニア派遣を手がけ始めたのは,テンブロスとパソナだ。なかでも,1991年にいち早く取り組んだテンブロスは,経験(Experience)豊富な熟練した(Expert)世代(Age)という意味の名称「EXAGE(エクサージ)」を作るほどの力の入れよう。オリックス人材は,2002年,自社の定年退職者をオリックスグループ内に派遣する事業を始め,現在は一部グループ外への派遣も行うようになっている。

 グッドウィルやヒューマネジメントジャパンが本格的に参入したのは,2004年と最近のこと。グッドウィルシニアは,差別化を図るために,製造業などでのブルーカラーの派遣を推進している。また,ソフトパワーのように登録者の7割以上は50歳以上と,シニア派遣を専門に事業展開しているところも出てきた。

 1995年に専門部隊を作ったパソナの場合,「年間の新規登録者は1,000人程度。これが年々増える傾向にあります。登録者の平均年齢は2004年度が58歳。これが今では56歳と年々若くなっています」(渡辺達也シニア事業部長)。年齢別の内訳を見ると,最も多いのは60~64歳の35%,次いで65~69歳の25%,55~59歳20%,54歳以下と70歳以上がそれぞれ10%。定年前の59歳以下で30%を占めている。すでにリストラや自主退職などによる早期退職者が派遣に流れているということだろう。

 今後は,まもなく定年を迎える団塊世代を中心に,労働意欲のあるシニア世代の登録が増えてくるのは確実。業界としても,シニア派遣は大きな期待をかける分野だ。とはいえ,パソナの場合,現在までの累計登録者数は7000~8000人。それに対して,実際に働いている人(稼働率)はまだ約20%にも達していない。他の派遣事業者でも似たようなもの。企業側のシニア世代活用への理解促進,求人とスキルのミスマッチなど,解決しなければならない問題は多い。

広がる活用分野,求められる能力

 現在,企業から求められるシニアの活用分野としては,次のようなものがあげられる。

経 営 管理職のアドバイザー,組織作り,写真の育成・指導,企画立案など
財 務 財務の分析,資料作成,監査業務,申告書類の作成と提出作業など
営 業 新規開拓,市場調査,販売戦略・促進,仕入・販売,苦情処理,店舗強化など
事 務 採用,社員教育,労務管理,採用,総務,法務,経理・会計,庶務など
専門技術 設計,技術指導,品質管理,生産管理,情報処理,ISO,特許など
その他 講師,翻訳・通訳,編集校正,広告宣伝,倉庫商品管理など

 シニア派遣は一般の派遣とは違い,経験に裏打ちされた専門知識が求められる。たとえ工場で働くブルーカラーであっても,現場におけるマネジメント能力がなければシニアを雇うメリットはないというもの。パソナによれば,今,最も需要が多いシニア人材は金融関係の知識と経験を持った人。「銀行の扱い商品が保険や証券など多様になる中で,経験と知識が豊富な信用組合や旧都銀,証券会社,保険会社の出身者などが求められている」(パソナの渡辺部長)。

 しかし,シニア派遣は今後,専門職だけでなく一般職にも広がるというのが渡辺部長の見方。若年層の採用がままならない企業,若手を教育していく十分な余裕のない企業などでは,シニア世代ならではの人生経験や対応能力,交渉能力を必要としている部署が多くある。例としては,コールセンターやカスタマーセンター,不動産,金融などでの各種相談業務が有望だ。そういうことであれば,男性だけでなく,今まではチャンスの少なかったシニア女性活用の機会も広がっていくだろう。

 企業が,特に期待するのは“人脈”だ。現役時代に築いた人脈は,それだけで大きなビジネスチャンスを生む可能性がある。営業では何よりの戦力だ。さらに,本来の役割にプラスして,若い社員の指導と育成,技術の伝承なども期待される。

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