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本当にやりたい仕事って何
2006年施行の「高齢者雇用安定法」を知る
2005/06/16

 高年齢者雇用安定法(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/)が改正され,企業は2006年4月1日以降,(1)65歳までの定年の引上げ,(2)継続雇用制度の導入,(3)定年の定めの廃止--のうち,いずれかの措置を講じなければならなくなりました。定年を間近に控えた団塊世代にとって,この法律は大いに関心のあるものでしょう。その本来の意味,雇用形態,定年延長は果たして朗報なのかといった点を考えてみることにします。

“制度”の導入を義務づけ,雇用の機会を作る

 「65歳までの定年の引上げ,継続雇用制度の導入」という部分を読んで,「よかった!これで65歳まで今の会社でそのまま働けるぞ」と思うのは,早計です。というのは,これは“制度”の導入を義務づけた法律だからです。65歳まで必ず雇用しなければならないということではなく,雇用のための機会を作りなさいということです。

 例えば,60歳定年制度を定めている企業であれば,その後の継続雇用制度を新たに導入することになります。その場合,社員はいったん60歳で定年となって,継続雇用の話し合いをします。そして,新しい労働条件が双方の合意に至らなければ,結果として再雇用されないこともあるということです。

 また,企業は希望する全員を継続雇用の対象とする必要はありません。労使協定または就業規則などで対象となる基準を定めることができ,基準に合わなければ再雇用の対象にはしなくてもいいということになります。もちろん,企業側の一方的な理由で決められるのではかなわないので,その基準は具体性や客観性なければならないとしています。

 ・意欲,能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)
   労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ,到達していない労働者に対  して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。

 ・必要とされる能力等が客観的に示されており,該当可能性を予見することができるものであるこ  と(客観性)
   企業や上司等の主観的な選択ではなく,基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で ,該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。

 具体性,客観性のある基準の例としては, 

 ・社内技能検定レベルAレベル

 ・営業経験が豊富な者(全国の営業所を3か所以上経験)

 ・過去3年間の勤務評定がC以上(平均以上)の者

などが上げられています。「会社が必要と認める者」,「上司の推薦がある者」,「男性(女性)に限る」,「組合活動に従事していない者」など,あいまいな基準は適切ではないとされています。

年金満額支給までの生活資金不足を解消?

 さて,定年を延長,継続雇用制度の導入といわれても,企業は急に実現できるわけではありません。そこで,段階的に導入してよろしいという「導入スケジュール」が示されています。

 ・平成18(2006)年4月1日~平成19年3月31日:62歳  ・平成19(2007)年4月1日~平成22年3月31日:63歳  ・平成22(2010)年4月1日~平成25年3月31日:64歳  ・平成25(2013)年4月1日以降       :65歳

 すでにお気づきかもしれませんが,このスケジュールは,今後の団塊世代を中心とした年金支給開始年齢の引き上げ時期と密接な関係があります。

 年金は,今の制度では60歳から報酬比例部分が支給され,その後,それぞれの期間を置いて定額部分が支給開始となり,そこからが満額の年金支給となります。「導入スケジュール」は満額受給開始までの期間,比例報酬部分だけでは生活資金が不足になるでしょうから,働く期間を延ばし,収入を確保してくださいという趣旨の法律だと言えるでしょう。

 定年延長と継続雇用制度は,シニア世代の安定した生活の実現,働くという生きがいの支援策として期待されるものです。しかし,リタイア世代の能力を生かす,経験,技術・スキルを次世代に継承する機会を作るという観点があまり語られないのは,寂しい気がします。その観点が抜けてしまっては,また,働くことが目的化している「働きバチ」,あるいは生活資金のためにだけ働くという状況に陥ってしまうのではないでしょうか。第2の人生の働き方は,豊かな人生を実現するためのものであってほしいものです。


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