不安と焦りを乗り越え一歩先へ
仕事の骨格が固まった2009年4月、いよいよ会社を退職した。まさに山下さんのやりたい仕事が始まろうとしていた。タイ国政府観光庁からは、ロングステイ支援組織として認められもいた。タイでは下見ツアーのアドバイザーとして、ロングステイ希望者の現地でのガイドも行う。 「下見ツアーでは、ショッピングや観光のアドバイスをするだけでなく、賃貸物件の紹介などもしていきたいです。今、日本人のロングステイはわずか2週間から1ヶ月程度。それでは本当のタイの良さはわからないし、ロングステイの楽しみも伝わらないでしょう。これからは、我々のような都会で暮らしたいアクティブシニアがロングステイを考える時期です。彼らのニーズにあったものをどんどん紹介していきたいですね」。 山下さんは「私は早く決断できてよかった」と言う。山下さんの元には、独立・起業に関する話を同期や後輩たちが聞きにやってくる。誰もが定年までの仕事人生、そこから先の人生に不安を抱えている。その不安と焦りを乗り越え、ひと足早く自分のやりたい仕事を見つけることができた山下さんは、同輩らの一歩先を歩き始めたということだろう。 「本格的なビジネス体制を整えるのはこれからです」という山下さんの笑顔には、焦らず、気負わず、けれど自信のようなものが溢れていた。 (フリーライター=本多美也子)
筆者プロフィール
本多美也子(ほんだ・みやこ) 就職情報誌では150を超えるさまざまな職業の人にインタビュー。大人向け旅行誌では中高年向けの癒される穴場や温泉記事を数多く執筆。シニアガイドと共にお寺や和文化をめぐる仕事も多く、地方の伝統産業、特産品について詳しい。 プロデューサ紹介
松本すみ子(まつもと・すみこ) 早稲田大学第一文学部東洋史学科卒業。 IT業界で20数年、広報、販促、マーケティングを担当。 2000年、団塊/シニア世代の動向研究とライフスタイルの提案、コンサルティング、執筆などを主要な事業とする有限会社アリアを設立。2002年9月、シニア世代の仲間づくり・活躍の場づくりの会「おとなのオピニオンコミュニティRyoma21」を主宰。2007年、NPO法人シニアわーくすRyoma21となる。日経BP社の情報サイトnikkeiBPnetにて「団塊消費動向研究所」を連載中。著書に、「そうだったのか!団塊マーケット」、「心理系の仕事を見つける本」などがある。
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