ここから本文です
充実生活見つけた
神保町で古書店のおやじになる!<その2>~古書店はその本を求めるたった一人との出会いの場~
2008/12/22

 趣味の古書コレクションが高じて、神保町に戦後大衆文化専門の古書店「いにしえ文庫」を開いた岡田則夫さん(62歳)。前回は、少年時代の古書のコレクションから、定年後の開業に至ったいきさつを聞いた。岡田さんのように、古本屋のおやじ的な生き方に憧れる人は少なくないのではないだろうか。

 今回は、古本屋のおやじでいることの楽しさ、そして、古本屋をやってみたいと思っている人のために、開業までのノウハウや古書店の未来についても聞いてみた。

古書を介して懐かしい記憶の花が咲く

 戦前の家並みがまだ残る神保町の裏路地に、小さな古書店を持った岡田さん。古書の香りに誘われて、ぶらりと訪ねて来る本好きたちとの交流が、もっぱらの楽しみだという。落語関係の本も多数揃えているので、プロの噺家さんや落語の研究家も立ち寄ってくれるようになった。

 「戦後間もない頃の雑誌もいろいろあります。同年代にとっては、少年の頃の思い出が詰まっている本ばかり。本をネタに話をしているうちに気が合ってきて、店を閉めて近くの喫茶店に話ししに行っちゃったりしてね(笑)」。確かに、店のドアには、手書きの「ベローチェにいます」という張り紙が貼り付いていた。時にはそのまま客と意気投合して、飲みに行ってしまうこともあるのだとか。

 岡田さんは取材者が女性とみると、「こんなものあるんだよ」と『ひまわり』や『女学生の友』など、往年の少女雑誌を出してきてくれた。川端康成が連載を持っていた『ひまわり』などは内容が充実していて、今読んでも遜色ない。岡田さんは次々と関連する古書を引っ張り出してきて、「これなんかも見てよ」と言う。貸本屋専門の少年漫画やアンデルセンや『ハイジ』などの絵本、懐かしい童話なども並べ出す。

 「子供の頃に読んだ童話って、もう一度読みたくなりますよね」という、こちらの反応から、さらに話が弾む。思い出話が次々と出てきて、ああ、こんな雑誌もあった、こんな作家もいたと話は止まることを知らない。客も店主も楽しい、それが古書の世界なのだ。本を売るというよりも、思い出の共有こそ、岡田さんの古書店主としての醍醐味なのではないだろうか。

いにしえ文庫は岡田さんの城

1ページ 2ページへ 3ページへ 4ページへ 次のページへ
この記事のバックナンバーを読む
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る