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充実生活見つけた
退職後に選んだ里山での暮らし<その2>~力を抜いて、自然体で地域とかかわる~
2008/11/24
鬼無里に溶け込んだ高野一家はとても仲よし

 前回は、研究所勤務だった高野肇さん(62歳)が、自給自足を目指す暮らしを求め、長野市鬼無里地区へ移住するまでを紹介した。高野さんは現役時代から、研究のためにだけ活動するというより、人と関わり、対象となる地域のあり方にまで言及する熱血研究者だった。新しい人生を始めた場所でも、その個性は地域社会に影響を与えている。

好きでやっていることだから“道楽”

 自宅の庭と歩いて数分の川べりの畑、車で10分ほど離れた田んぼ。それが高野さんの手がける農の現場だ。といっても農業者になったわけではない。家族3人で、年中訪れる客をもてなすための自給自足的な農作業を楽しんでいるのだ。だから、川沿いの畑には3人には少々多いほどの枝豆が植えてある。

 「うちの奥さん(美香さん)は、枝豆が大好きでね。枝豆だけは思う存分食べたいって言うものだから」と、高野さんは笑う。もちろん、すべて無農薬。トマトもジャガイモも大根もある。そして、田んぼに行けば米も収穫できる。

 その夜の高野家の食卓には、自家製の豆腐や白菜を入れた鍋、枝豆、コロッケ(ひき肉は買ってきたが、じゃがいもは自家製)、ピーマンのピリ辛炒め、漬物がずらり。ほとんどの材料は自分たちが手がけたものだ。

 こうして熱心に毎日農作業に励んでいても、高野さんのキーワードは“道楽”だ。このあたりの集落は50戸程度で、60歳以上の住民が多い。みな、畑や田んぼを持っていて、ちょっと時間があるとすぐ農作業に出かける。

 「道で出会うと『いやあ、道楽だから』っていい顔で笑うんです。結構大変だと思うのに。畑は傾斜のきつい場所だったりするんですよ。自家用だから出荷のノルマがあるわけじゃないし、誰かに強制されてやっているわけでもない。好きでやっているだけだから、力が抜けているんですよ。そのスタイルがとってもいいなあって思っています」。

 生き方に嘘がない。裏を読んだり、利害を考えて動いたりする必要もない。自分もそうした生き方をしたかったから、鬼無里の年配者たちのひょうひょうとした生き方に感銘を受けた。

太望峠から望む北アルプスが初めて雪化粧

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