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充実生活見つけた
陶芸は,なくてはならない心の支え<その1> ~待ちに待った定年は,両親の介護から始まった~
2006/09/04

 東京・世田谷区在住の前田晃男さん(65歳)は,週5日,自宅近くの陶芸教室に通い,土に触れながら時間を過ごす。マグカップ,ビアマグ,花器,酒器,茶器・・・作品の種類も増え,商品としても少しずつ売れるようになってきた。

 一見,定年退職後の悠々自適を絵に描いたような暮らしに映る。しかし,ここは,親の介護という大仕事を抱える前田さんにとって,自分自身を支えるための,どうしても欠かせない場所である。まずは,前田さんが陶芸を習い始めるに至ったいきさつを話してもらった。

絵描きの夢を捨て,サラリーマンに

 前田さんは絵が好きで,高校生の頃までは絵を描き続けていた。できることなら,仕事もそちらの方向に進みたかったが,絵描きでは食っていけないことは分かっていた。そこで,不本意ながら,会社勤めを始める。

 「器用な人だったら,仕事と趣味を両立できるんでしょうけど,私は不器用なんです。ヘタに好きなことを始めたら,仕事そっちのけでのめり込みかねません。定年までは好きなことを封印して,とにかく仕事をやり遂げようと腹をくくりました」。

 勤務先は大手私鉄会社。“仕事は生活していくための手段,それ以上でもなく,それ以下でもない”と割り切って,40数年間のサラリーマン生活を送った。そういう思いがあったからだろうか。会社では,ゴマはすらない,コビは売らない,出来ないことは出来ないと突っぱねる,そんなサラリーマンだった。頑固だったから,敵もできた。世の中の多くのサラリーマンとは少し違っていたようだ。

 「よくそう言われますけどね・・・。でも,何も仕事を怠けたりするわけじゃなくて,やらなければならない仕事はちゃんとやって,それ以上のことはやらなかっただけです。だから,自分としては納得していました。ただ,周囲からは少し変わっていると思われたようで,なかなか本流は歩けなかったですね」と,サラリーマン人生を振り返る。

 営業を担当したときは,大阪,岐阜,岡山,九州,長野など,主に西日本を転勤で渡り歩いた。仕事の合間に各地の陶器工房を訪ね歩き,焼き物を見てまわった。これが定年後に焼き物に向かう下地となった。前田さんにとっては,会社の中だけで仕事をしているよりも,ずっと面白くて,充実した毎日だった。

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