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充実生活見つけた
料理教室で発見する新たな価値観<その1> ~受講者急増中のわけは老後の不安?~
2006/05/08

 「男子,厨房に入らず」といわれた時代を過ごした男性たちが,今,大きく変わろうとしている。まったく料理をしたことがない,ガスの付け方も知らない――,そんな男性たちを対象とした料理教室が人気を呼んでいるのだ。

 できたら一生やりたくないものから,身につけて楽しみたいものに変わってきた「男の料理」。今回はその最前線,「男性だけの料理教室」を訪ねてみた。

妻に頼り切らない,男の自立は料理から

 取材したのは,ベターホーム協会が主催する「男性クラス」。教室には男性ばかりの生徒が25名。しかも,皆さんほぼ50歳以上の熟年者である。それに,講師とアシスタントなど,指導する先生が3名いる。3人から4人ごとの班に分かれ,まず講義を聴き,次に実技となる。それを繰り返しながら完成までもっていく。

教室風景1

 生徒は皆,藍染めやペイズリーなど,洒落た柄や色合いの三角巾やバンダナで髪を覆い,自前のエプロンを身につける。それぞれに個性豊かで,仲間と談笑したり,レシピを熱心に読んだり,始まる前からなにやら楽しそうな雰囲気だ。

 ベターホーム協会広報の三輪みどりさんの話では,1991年には全国で350人だった男性受講生が,2005年には5676人にまで増えたという。受講年齢は60代が最も多く,全体の76%,以下70代14%,50代9%ほどで,定年後に料理を習い始める人が最も多い。特に,ここ10年ほどで受講者が急増しているという。

 「これは男性の考え方が大きく変化した結果だと考えられます。今までは仕事一筋で来たものの,これからは家族のため,自分自身のための充実した生活,人生を望むようになってきているからでしょう。中でも日々の生活や健康に直結した食事についての関心が高いですね」と三輪さんはいう。この傾向は団塊世代の定年によって,いっそう進むと予想している。

教室風景2

 料理教室に通おうと思ったきっかけを見ても,その傾向が見て取れる。複数回答のアンケートによれば,定年によってゆとりの時間ができたこと(61.7%),趣味として(47%),ひとりになっても困らないように(45.7%),妻の手助けをしたい(40%)といった前向きな動機が高く,定年後の生活に料理の知識や技術を生かしたいと考えている人が多い。

 「今までは妻や家族にまかせっきりだった料理は,実は,セカンドライフではもっとも身近なものです。しかも,やろうと思えばすぐに自宅で実践できます。定年直後では,妻の方がまだ仕事を持っていることも多く,家庭や家族の役に立ちたいという夫の思いもあるのでしょう」(三輪さん)。

 健康に人生を送るためにも,日々の食事は重要な問題でもある。また,高齢化が進む中で,妻に先立たれる,妻を介護する立場に立たされる男性も増えつつある。いざという時,何もできないでは済まされない,そんな現実や危機感も「男の料理」へ向かわせる要因なのかもしれない。セカンドステージを生きる男にとって,毎日の食は無関心ではいられないのだ。

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