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充実生活見つけた
東京の空から遥か宇宙の彼方をとらえる<その2> ~子供の頃の喜びを今の技術でつかむ~
2006/04/10
 アマチュア天文家として日本で初めて冷却CCDカメラを駆使し,天体写真を撮影した東京都世田谷区の岡野邦彦さん(52歳)。CCD(画像素子)を冷却して長時間露光のノイズを減らす冷却CCDカメラによる天体写真は,これまで撮影できなかった東京から見た銀河の姿を鮮明に写し出していた。

 1993年,その画像が専門誌に発表されると,多くの天文ファンは驚いた。前回は,その天体撮影技法と開発までの工夫を中心に紹介した。今回は,岡野さんの飽くことのない研究心を紹介する。
ドームと岡野さん
「デジタル現像」の技法を独自に開発

 CCDによる天体画像は,確かに光害が除去されて,フィルムに勝る高い解像度を示していた。ところがその一方,「美しさ」の点からすると,フィルムで撮られた天体写真に比べて,まだ分が悪い。明暗のコントラストが強過ぎて,微妙なディテールが出ないのだ。そのことは岡野さんも気になっていた。

 ここから,いよいよ,岡野さんの“研究者魂”に火が付く。

岡野さん

 「フィルムの乳剤は,現像処理の過程で絵柄の明暗に応じて自動的にエッジが強調されるなど,人の眼に美しいと感じさせるさまざまな効果を生み出すように設計されています。銀塩写真の長い歴史の中で蓄積された巧みなノウハウです。それと同じ効果をパソコンによるデジタル画像処理で実現できないか,と思ったのです」。

 こうして開発した技法が「デジタル現像」だ。それまでのパソコンによる画像処理では,全体としてシャープにしたり,コントラストを上げたりすることはできても,フィルムの現像過程の化学的な処理に着目し,模擬的な効果を出す,という発想はなかった。ここがデジタル現像の優れたところだ。

 「フィルムでは現像液の濃度,現像時間,攪拌方法などを細かく操作して写真の諧調を調整しますが,それには高度のノウハウと“勘”が要ります。デジタル現像はその過程を論理的に体系化して自由に調整できるようにしたのです」。

 ついに,CCD画像がフィルム写真と肩を並べるクォリティになった。

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