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充実生活見つけた
貝殻に耳を澄ませて東京湾のささやきを聴く
2006/02/13

 自然を対象にした趣味は奥が深く,限りない。相手が絶えず変化するからだ。コンクリートに囲まれた都市にも小さな自然は息づいている。そして,小さな自然に触れあうことは,地域に目を向けることにもなる。

 京浜運河の貝を30年にわたって定点観測してきた青野良平さん(58歳)は,運河の浜辺でちっぽけな貝を探しながら,東京湾の変化を見続けてきた。もはやそれは,仕事と一線を画した生活のリズムになっている。退職後も,自然を相手にした生活のリズムは延々と刻まれていくにちがいない。

気がついたら京浜運河の浜辺にいる
観察中の青野さん

 気持ちよく晴れた日曜日,浜松町から羽田空港行きのモノレールに乗ったとしよう。一つ目の天王州アイル駅を過ぎると,赤い水道管の橋が見えてくる。その下あたり,大井埠頭の埋め立て地を流れる京浜運河の砂浜で,じっと水面を見つめながらしゃがみこんでは立ち上がり,カニのように横歩きしている人がいたら,それが青野さんだ。

 「休日になると,気がついたら自転車をこいで,ここに来てるんです。家からほんの10分ほど。30年以上こんな生活を続けてますから,すっかり習慣になってますね」。

 目的は貝の定点観測。見かけない種類を発見すれば持ち帰る。釣り人たちが不思議そうに声をかける。事情を話すとみんな面白がってくれる。

 青野さんは,かつては釣り人だった。「子どもの頃は平和島が近かったので,よく遊びに行きました。当時,まわりはすべて干潟と砂浜で,オサガニが見渡す限り群れていたものです。学校から帰るとランドセルをほっぽり出してハゼ釣り。埋め立て地になる前,このへんの海は遊び場でした」。

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