ここから本文です
趣味の鉄道旅行を実益につなげ旅行作家に<その2>

1人が1年に1回ローカル線に乗れば廃線は免れる

 野田さんの「鉄ちゃん」生態分析は,さらに続く。日本の鉄道全線制覇のさらに上を行くのが,全駅下車に挑戦する「乗り鉄ちゃん」だ。これにも掟がある。証拠は駅舎をバックに写真を撮ること。だから改札を出ないといけない。ところが,北海道には1日に1本しか列車が止まらない駅も多い。そんな場合は,熊の出そうな道を次の町の駅まで10キロだろうが何キロだろうが,ひたすら歩くのだそうだ。

野田隆さん

 「今,廃線跡の旅が流行っています。国鉄民営化の時などで,工事が中止になって掘りかけのトンネルだけ残っているような『未成線』を巡る旅というマニアックなものもあります」。野田さんも著書で取り上げている五能線や「ゆふいんの森」など,企画に工夫を凝らした観光列車は,一般にも人気が高い。団塊世代に向けては,定年後に夫婦で行くローカル線のスローな旅などは需要がありそうだ。

 しかし,野田さんに言わせれば,「それまで待ってたら,赤字の路線はなくなっちゃうかもしれない」。事態は切迫しているのだ。「日本の貴重な財産でもあると思うんです。皆さんには,ぜひ乗りましょう,と言いたいですね。1人が1年間に1度でいいから,どこかのローカル線に必ず乗れば,経営状況はけっこう改善されて,廃線にならずに済むんじゃないでしょうか」。

 鉄道がテーマなら,ネタには困らない。しかし,本は需要がないと出せない。「団塊世代は,子供の頃にはまっていたという『鉄ちゃん予備軍』が相当数いるんじゃないかと踏んでるんです。仕事ひと筋で来た人たちが定年後に,鉄道少年だった頃を思い出してくれたら嬉しいですね」。それには,まず,野田さんの本を読んで,幼い頃の記憶を蘇らせるという手もある。

 鉄道への愛がほとばしり出るような思いの強さこそ,趣味の鉄道旅行を本の出版という実益につなげることができた原動力にちがいない。理想の定年後へと着実に歩みつつある野田さんの真骨頂だ。

(佐々木聖=フリーライター)
◆野田さんの著作紹介サイト
http://homepage3.nifty.com/nodatch/
筆者プロフィール

佐々木聖(ささき・きよし)
1959年,東京都生まれ。企業広報誌や旅行誌などの編集記者,雑誌ライター,単行本の企画編集に携わる。著書に『多摩川なまず旅』(小学館文庫),『絵で見るふるさとの伝統さがし』(学習研究社),企画編集した単行本に『鬼平料理番日記』,『直伝 賄いめしの知恵』(以上,小学館文庫)などがある。
プロデューサ紹介

松本すみ子(まつもと・すみこ)
早稲田大学第一文学部東洋史学科卒業。
IT業界で20数年,広報,販促,マーケティングを担当。職場での心のケアに関心が向き,産業カウンセラー資格を取得。これを機に,シニア世代の動向に注目。シニアライフアドバイザー資格を取得し,2000年,団塊/シニア世代の動向研究とライフスタイル提案,コンサルティング,執筆などを主要な事業とする有限会社アリアを設立。
2002年9月,シニア世代の仲間づくり・活躍の場づくりの会「おとなのオピニオンコミュニティRyoma21」を主宰。
2004年,NPO法人おとなの暮らしと仕事研究所となる。日経BP社の情報サイトnikkeibp.jpにて「団塊消費動向研究所」を連載中。
著書に,「自分分析!つまらない毎日なら『好きな』ことで独立しよう」,「心理系の仕事を見つける本」などがある。
この記事のバックナンバーを読む
前のページへ 1ページへ 2ページへ 3ページ
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る