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充実生活見つけた
多くの人に良い作品を見せたい 市民活動で広げる映画の世界<その2>
2005/09/26

 40歳で高崎映画祭を立ち上げ,58歳にして念願の映画館をオープンした茂木正男さん。現在も,会社員と市民活動家との二足のわらじだ。

 今では高崎を代表する文化イベントに成長した高崎映画祭には,茂木さんが勤務するNTT東日本群馬支店が協賛企業として名を連ねている。同社はNPOで運営する映画館にとって,有力な出資企業でもある。会社の仕事の他に,自分のやりたいことを実践してきた茂木さんの活動は,結果的に企業と地域を結ぶ大切なパイプ役を果たすことになった。

サラリーマンがおカネを集めて映画館づくり

 莫大な宣伝費をかけて鳴り物入りで公開するメジャーの大作だけが映画ではない。高崎映画祭が求めてきたのは,前年度に公開されたミニシアター系の作品のベスト・セレクションだ。けれども,映画祭は年1回で期間も2週間ほど。それでは短すぎる。小粒だが,地方では見る機会の少ない良質な作品を専門に上映する常設館が欲しい。そんな思いは映画祭を始めたころから抱いていた。

 「この映画館ができるまでに15年かかりました。いろいろな候補地を探して図面まで引いたけれど,何度も何度も挫折しています。サラリーマンがおカネを集めて映画館をつくるというのは並大抵なことではないですよ。おカネのこと以外にも,街の人たちの理解とか,映画の置かれている状況とか,いろいろな条件が整えないとできない。それで,ここまでかかったんです」。

 しかし,とうとう追い風が吹いてきた。19回を数える映画祭を運営してきた茂木さんの実績。高崎駅西口にあった4軒の映画館がすべて閉館するという街の状況。韓流ブームをきっかけに映画が持つ経済活性化の力が改めて認識され,文化庁を中心に映画振興の動きが出てきたこと。そうした追い風に加えて,映画館に改装するにはもってこいという物件が見つかった。

 それは,閉店した銀行だった。運よく,隣の甘納豆屋が敷地と建物を買い取っていた。それを借りて2004年12月,「シネマテークたかさき」は華々しくオープンした。企業や市民から出資を仰ぎ,NPO法人「たかさきコミュニティシネマ」が映画館を運営する形態だ。

シネマテークたかさき

 「ほんとによく集まりました。4200万円ほどかかっていますが,商店街活性化支援事業として県と市から頂いたのは全体の1割ちょっと。その他は出資金です。古い建物なので,耐震補強の壁を3カ所作らないと建築基準法をクリアできない。それに,予想外のおカネがかかってしまいました。でも,借金しないで,あと数百万円で支払いが終わるというのは,自分で言うのもナンですが,凄いことだなと思っています」。

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