ここから本文です
充実生活見つけた
定年不安から“フランス・ツーリング”に行き着くまで <その2>
2005/06/14


 1999年に定年を迎えた工藤宇一さん(65歳)は,旺盛な好奇心と柔軟性で,充実した定年後を送っている先輩の一人だ。前回は,そんな工藤さんが,定年直前の不安な気持ちを抱えていた頃から,無我夢中で新しい世界を探っていた定年直後の「模索の時代」について紹介した。

 その工藤さん。ようやく充実したセカンドライフのきっかけを見つけたと思いきや,それからのアクティブさは半端ではなかった。次々と新しいことに興味を持ち,まずは「お遍路ひとり歩き」を敢行。そして,なんと「フランス・ツーリングツアー」に夫婦でチャレンジすることに。

 「とにかくやってみることが大事」という工藤さんの挑戦から,何かが見えてくるはずだ。



四国お遍路ひとり歩き47日間

 料理教室にワイン教室,そして毎日1万歩歩くこと--。こうした日々を続ける工藤さんのチャレンジ精神に火をつけたのが「お遍路さん」だ。ある日,たまたまお遍路さんの番組を見て「やってみよう」と思いたつ。工藤さんを誰よりも知る奥さんでさえ「なぜ行くの?」と聞いたほど,突然の決心だった。

 ここから,工藤さんらしい,入念な事前情報の入手と準備が始まる。工藤さんにとって,準備や下調べ自体も目的の一つだからだ。技術者気質とでもいうのか,準備に費やす時間もまた,充実をもたらしてくれるものであったようだ。

 自宅に連絡をとるための携帯電話を用意して,準備万端。ついに出発したのは,定年2年目の2000年3月8日のことだった。

 事前に20日分の宿を予約していた工藤さんは,それを1日の歩くペースの目安にすることに。そうすると,毎朝5時半の出発となった。そこには,道々に出会う様々な風景や人情に驚かされ,また心癒される出会いが待っていた。自分の足で一歩一歩進むことは,車やバイクの移動とはまったく違うことを実感せずにはいられなかった。

 「この花はなんという花でしょう?」。何の気なしに聞いたこの問いに,その時は分からなかった地元の人が,ただそれだけを伝えるために車を走らせ,「お遍路さん,あの花は花桃だよ」と教えに来てくれたことがあった。また,お遍路が深く根付いている四国では,“お接待”といって,お遍路さんにお金や食べ物を渡したりする習慣が今も続いている。「お遍路さん,これを」という言葉と共に差し出される食べ物や,飲み物,お金に戸惑ったり,驚いたり。

 この間,工藤さんは前半を1日約20km,後半を40kmものペースで歩き,なんと47日間で結願(88カ所霊場を回り終えること)した。決してのんびり歩いていたわけではないが,それでも,ただただ歩く充実感,その過程の楽しさ,出会いの豊かさは歩かなければ分からないものだったと振り返る。

 歩き通したとき,工藤さんの胸に去来したのは達成感というよりは,「心豊かなぜいたくな日々」を過ごしたことへの感謝と,やり遂げた余韻の心地よさだった。


1ページ2ページへ3ページへ次のページへ


この記事のバックナンバーを読む
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る