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充実生活見つけた
定年不安から“フランス・ツーリング”に行き着くまで <その1>
2005/06/08

 「定年になったら,どうしよう」--。あまり口には出さないが,多くのサラリーマンはそう思っているのではないだろうか。「“仕事人間”だった自分には,それほどやりたいことも趣味もないし」と。しかし,この道はすでに多くの先輩がたどった道。誰しも,最初からやりたいことがあったわけではない。ここはひとつ,そうした先輩諸氏の歩みを拝聴しようではないか。今回は,“時の流れに身を任せ”,気の向くままに様々な趣味・楽しみ方にチャレンジする工藤宇一さん(65歳)を紹介する。

妻のひと言が心にグサリ

 工藤宇一さんが定年を迎えたのは1999年。大手メーカーに勤務し,「会社で働くことがすべて」だった工藤さんにとって,定年後のことは考えるだけで“不安だらけ”の状態だった。「気にはなっていたので,(定年の)3年前ぐらいから情報収集にかかりました。でも,それは年金や保険など,手続きやお金の情報が主でしたね」。

 情報収集を終えて,なんとかその類の見通しがつくと,今度は定年後の「生き方」そのものが気になり出した。というのも,当時,定年後の男性を表現した言葉は“濡れ落ち葉”,“毎日が日曜日”など否定的なものばかり。高度成長期を支えてきた工藤さんは,本人いわく,「“無趣味”でもあった」。また,大手メーカーで企業城下町とでもいうべき都市に暮らし,「オンもオフも同じ顔ぶれで付き合うことが多い」という状況も不安になる理由のひとつだった。「自分は濡れ落ち葉にはなりたくない」という気持ちもあったと振り返る。

 「では,どうすればいいのだろう?」。漠然とした不安を感じつつも,在職中はそのことを突き詰めて考えることはしなかった。工藤さんに限らず,多くの人はそんなものかもしれません。

 しかし,ある日,奥さんの言ったひと言が転機となります。「あなた,定年になったらどうするの?」

 奥さんにすれば,「この人はまったく無趣味だし,私はまだ仕事をしているし,どうするのかしら」という程度の,ほんの軽い気持ちで発した言葉だった。しかし,それは工藤さんにとっては,正に痛いところを突かれたという感じ。工藤さんは逆に居直って,「先のことを今考えるのはやめようと思った」と語るが,このひと言が工藤さんを少しずつ動かし始めたのは間違いないようだ。

 「だからという訳でもないのですが,一つ新しいことを始めたんです。かみさんが留守の時に,自分の好きな料理を作って食べようと思って,料理教室に通い始めました。嫁入り修行の若い女性に混じってね!」これが定年3年前だった。以来,入門,基礎,応用コース,特別コースと通い,今でも続けている。そして,この料理教室での出会いが,工藤さんの定年後を大きく変えていくきっかけとなったのだ。


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