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今さら聞けない資産運用の基礎を知る
第5回 孫子から学ぶ投資の戦略と戦術~2500年前の知恵
2005/07/07

 人生お金が全てではありませんが,お金がなければ楽しめないことやできないことも,たくさんあります。無いと困るのもお金ですが,あっても困らないのがお金です。

 もし,今,皆さんの手元に自由に使える資金があり,それを運用すると考えてみてください。皆さんだったら,どのような戦略,戦術の基に運用をしますか。誰しもが投入資金を減らしたくないと考えますが,効率的に増やしたいとも考えるでしょう。人の人生は一度しかありませんし,時間も無限にある訳ではありません。効率的に,かつ安定的に運用したいと多くの人が考えています。

 しかし,資産運用で中長期的に成功している,と断言できる人は少ないのが現実です。何故でしょうか。原因の一つに,運用における正しい戦略と戦術が欠如していることが挙げられます。

資産運用にも通じる孫子の3つのヒント

 ここで,「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」で有名な孫子の言葉から,資産運用にも生かせる3つのヒントを提供したいと思います。

(1)【勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め,敗兵はまず戦いてしかる後に勝ちを求む】

 投資をする前に,それが成功するだけの根拠を持っているかどうかが問われる言葉です。大事な資金を投入するには根拠が必要なはずです。ところが,失敗している人の多くは,雑誌やインターネットの断片的な知識に頼っていたり,金融機関の担当者や身近な人のアドバイスにそのまま従ってしまっています。運用をする際には,勝利が期待できるだけの根拠が必要です。

(2)【兵は拙速を聞くも,いまだ巧の久しきを賭ざるなり】

 短期決戦に出て成功した例はあっても,長期戦で成功した例は知らない,という意味です。デイトレードなどで短期的な投資に成功した例はよく聞きますよね。根拠があればいいのですが,そうではないギャンブル的な短期投資を繰り返しても,長期的な成功には繋がらない事は肝に銘じておくべきです。

 余談ですが,ギャンブル的投資にチャレンジする人はたくさんいます。投資結果を吹聴している人は成功している人だけであり,失敗した人の多くは沈黙しています。そして後者の方が圧倒的に多いのが現実です。

(3)【上下欲を同じくする者は勝つ】

 戦うときには,目的と方法,つまり戦略と戦術が合致しているべきだ,ということです。資産運用に関しては,まず,いつまでにいくらの資産を持つべきか定め(=戦略をたてる),そのために,どのような金融商品を採用するか決定する事(=戦術を選ぶ)が大切です。投資に失敗する人の多くはこれが合致していません。話題になったり,興味を持った金融商品を追いかけ,射幸心にあおられた結果,本来不要なリスクを背負い,徐々に資産を失っていく傾向にあります。

 如何でしょうか。たったこれら3つの孫子の言葉の中にも,運用に関する大きなヒントがあると思いませんか。

自分を取り巻く環境と金融商品の特性を押さえる

 皆さんにとって大切なのは,正しい戦略を立てて,戦術を選ぶことです。そして戦術を選ぶ際には根拠を持って為すべきだということです。すなわち,投入資金,運用期間,目標金額を決定し,根拠を持って金融商品を選択するということです。そして誘惑に負けてギャンブル的な投資に走らないことも大切です。

 皆さんが正しい戦略を立て,戦術を選ぶためには,まず知っておくべきことが2つあります。1つは今後の収入予測や社会保障制度などの自分を取り巻く環境です。これは戦略を立てる上で大事な情報であり,根拠となります。

 2つ目は,金融商品の種類や特性などです。戦術を選ぶには,たくさんの選択肢を持ち,各々の選択肢の特性を知る必要があります。是非,自分自身で責任を持って正しい選択をしていくために,そして人生をより楽しむために,早いうちにこの2つの「知っておくべきこと」を把握していただきたいと思います。

 今回開催するセミナーでは,この2つが十分理解できるように,具体例をまじえながら分かりやすく解説します。そこで皆さんが身につけた知識は,これからの人生をより豊かにしてくれるはずです。

 孫子は,戦う前から勝敗の行方を知ることができたと言います。孫子の知恵は現代から約2500年前のものですが,今も孫子が生きていたら・・・,皆さんの資産運用の結果は彼には見えているのかも知れませんね。


山田英次(やまだ・えいじ)
ブレインズパートナー有限会社代表取締役,ファイナンシャル・プランナー。

私立麻布高校を卒業し,慶應義塾大学にて国際経営学を専攻。外資系金融機関を経て,独立系金融コンサルティング会社を設立し,現在は主に全国各地で開催される講演会を通じてのアドバイスを精力的にこなす。住宅購入,教育資金,セカンドライフに向けた資産形成など,個人の生活に密着したコンサルティングにおいて,多くの実績があり,幅広く支持されている。
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