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著者に聞く
聞き上手「傾聴」が信頼を深める<その1>~老親、若い部下の心の声を聴いているか~
2009/01/07

 あなたは人の話をちゃんと聞いていますか。「もちろん、聞いている」と答える人は多いだろう。しかし、そう答える人が「一番あやしい」と、桜美林大学大学院教授・長田久雄さんは言う。真摯に耳を傾けてくれる相手にだけ、人は本音を語るものだ。

 老いた親の心を知る、若い部下の気持ちを推し量る、妻の本音を聞き出す。そのためには人の声に耳を傾ける「傾聴」が大切だ。「傾聴」という姿勢をとることで、今まで感じ取れなかった声に気づくことができる。そればかりか、相手からはよき相談相手という信頼感を得ることもできる。

 今回は、一般にはまだまだ理解されていない「傾聴」について聞いてみた。

傾聴が人間関係を深める

―― 「傾聴」とは聞き慣れない言葉ですが、普通に話を聞くこととの違いは何でしょうか。

心ふれあう「傾聴」のすすめ―高齢社会でのコミュニケーション・スキル』河出書房新書
長田久雄:桜美林大学大学院老年学研究科教授

長田: 英語にすると「hear」と「listen」の違いですね。hearは自然に耳に入ってくるもの、聞こえてくるものですが、listenは集中して聴く、聴く気持ちで聴くことです。漢字では、「聞く」と「聴く」の違いでしょうか。人の話を聞く場合、特に仕事関係で顕著ですが、重要なポイントだけは聴くけれど、他の部分は聞き流していますね。

 同じ話の中でも、人は知らず知らずのうちに、「聞く」と「聴く」を使い分けているのだと思います。「聴く」ためには、自分自身の心で話し手に向き合って、相手の態度や様子までを注意深く見て聴かなければなりません。一所懸命、能動的に聴くということです。

 これはカウンセリングの手法のひとつでもあります。そして、本当に「聴く」ことができるようになるためには、心構えやスキルが必要となります。

―― 話をさえぎったり、結論を先に言ってしまったりする人がよくいますね。

長田: 人が話をしている途中で結論を言ってしまうのは、情報収集としても不十分になりますし、傾聴としては、決してよい聴き方ではありません。人の話を聞くときには、相手が気持ちよく話すことが大切なのです。相手の話の腰を折ると、話している人の本心も見えてこないでしょう。

 話をさえぎった人は、自分の言いたいことが言えて気持ちがいいかもしれません。けれど、話したいと思っていた人は、不満を抱き、もうその人に大切な話をしたいとは思わなくなるでしょう。聞き手になったら、言いたいことは我慢して、聴くことに徹する姿勢が大事ですね。相手の気持ちに寄り添うことで、今まで見えていなかった部分が見えてくることがあるのですから。

 しっかり聴くことで、コミュニケーションが深まりますし、話し手は、「ああ、この人は自分の話をちゃんと聞いてくれる」と、信頼を寄せるようになります。


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