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三州屋 銀座店〜牡蠣フライのスタンダード

2005年11月21日

冬の声を聞くと待ちきれなくなるメニューのひとつに牡蠣フライがある。単純な料理である。でもどうしてこんなに味の違いが出るかなぁと思われるくらい、店によって味が変わってくる。というか、本当に満足できる牡蠣フライって意外と少ないのである。固かったり、冷めていたり、衣が厚かったり、火が通りすぎてたり、香りが消えていたり…。あぁ満足がいく牡蠣フライを腹一杯食べたいっ!

でもご同輩、ご安心を。確実においしい牡蠣フライが食べられる店がある。こういう店を一軒、手持ちのカードとして持っているだけで、冬の昼飯がとっても豊かになる。同僚や女性を誘っても絶対喜ばれるに決まっている。だってうまい牡蠣フライですよ? ヒトがついてこないわけがない(人類はみな牡蠣フライが好きだと勝手に決めつけている)。

場所は銀座の並木通り。でも並木通りには面していない(どないやねん)。並木通りを銀座4丁目の方から来るとすると、プランタンを左に見ながら、通りを越えたブロックの左側に小さな路地がある(銀座2丁目のあたり)。その突き当たりに白い暖簾の古ーい一軒家の居酒屋がある(1968年創業)。そこが今日ご紹介する「三州屋銀座店」なのである。

基本的に魚中心の大衆割烹で、メニューは多い。昼から夜までぶっつづけでやっているせいもあり、昼から肴一品で酒を飲んでいるおっちゃんもいる。というか、壁に貼られたメニューを見てしまうと、思わず「お酒!」と反射神経的にオーダーしてしまう気持ちはわかる。そんな店なのだ。メニューはどれも相当うまい。昼ならアジやイナダのたたき定食もお勧め。名物の鳥豆腐がついてくるのでお得感もある。他には海鮮丼もいい。量もたっぷりでおいしい。

でも、なんといっても冬はぜひ牡蠣フライ定食(1100円)を。歯で衣をほおばると、ジュワッと牡蠣のジュースがあふれ出てくる。その揚げ具合がまずいい。衣と具のバランスもいいので、牡蠣の香りも強く出る。歯ごたえもちょうどいい。簡単なようだが、格安な店で、このようにちゃんと仕上げてくれる店は意外と少ないのである。これが5つゴロリと並んだお皿を前に、毎回ニッコリしてしまう。

洋食系だと、大阪の堂島にある「インペリアル」の牡蠣フライが日本でトップクラスだと思うが、和食居酒屋系ではこの店の牡蠣フライは相当上位に来る。ボクの中ではスタンダード的存在である。いかにも居酒屋の名店といった趣の店内は、夜は酒好きの肴好きで溢れかえるのだが、昼も常に満席だ。たくましいおばさん達によるぶっきらぼうな接客も「趣のうち」と楽しんでしまうのがコツ。

ちなみに都内に「三州屋」は意外とたくさんある。諸説あるが、どうやら蒲田店が大元でそこから独立したヒトがいろんなところで店をやっている由。チェーン店ではないらしい(たいてい鳥豆腐は置いているが)。神田や日本橋や新橋にも店がある。この店の近くの銀座1丁目にも、まったく同じ名前の「三州屋銀座店」という別の店もあるので注意。今日ご紹介したのは「銀座2丁目の並木通り沿いの路地」の店である。

店データ

三州屋 銀座店
東京都中央区銀座2-3-4
Tel:03-3564-2758
11:30〜22:30
日祝休

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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