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カフェテラス ポンヌフ(新橋)〜嗚呼、喫茶店のナポリタン・スパゲティ

2005年10月31日

このところ数回続けて「昭和」を感じさせる店のご紹介が続いている。というのも、「オシャレでヘルシーないまどきランチ」よりも、「昭和を感じるようなホッとできる店」で、来し方行く末を考えるのがボクはわりと好きなんですね。読者の方々もそうだったらいいなぁとか思いつつ、書いていたりするのである。

で、今回は、まさにあの「昭和独特の味」である「喫茶店のナポリタン・スパゲティ」の名店をご紹介しようと思う。若い人にはこの郷愁は分からないかもしれない。でも、30代後半以上の方々なら、きっと「あぁ久しぶりにあのケチャップ味の“ママー”スパゲティ系、太麺茹ですぎナポリタンを、口の周り赤くしながら食べたいなぁ」と感じてくださると思うのだ。

店の名前は「カフェテラス ポンヌフ」。店の構造は全然カフェテラスではないのだが、喫茶店にそういう名前をつけているあたりが、まずもって“昭和ちっく”でうれしくなる。この店は内装にまずノスタルジーをかき立てられる。いすにテーブルに壁紙に、ノスタルジックな昭和が溢れている。で、単なる喫茶店だと思って入ると、コの字型したカウンター内の厨房が意外と広いことに気づく(あくまで、客席に比べて)。中にいるシェフのただものでない佇まいに惹かれてしまう。お、この喫茶店、意外と料理がうまいかも! とわくわくしてしまう独特の雰囲気をこのシェフが持っているのである。

さて、表題からするとここでナポリタン(この店では「ハンバーグ・スパゲティ」と言う。ナポリタンの上にハンバーグがゴロリと乗っている)をオーダーしそうなものだが、グッとこらえて、是非ここの「ポンヌフ・バーグ定食」をぜひ食べてみて欲しい。大丈夫。ナポリタンもたっぷり出てくる。言ってみれば、“大人のお子様ランチ”的な名品なのである。

直径30cmくらいの白い皿に、ハンバーグとナポリタンとパンとサラダのすべてが盛られている。その姿がまずいい。デパートの大食堂のお子様ランチで感じたトキメキを思い出させる。熱々でぬめぬめのスパゲティ・ナポリタンが、つけあわせというより、充分ひとり分の量、まずお皿に広がっている。その上にハンバーグがドンと載っており、ソースはケチャップベースの懐かし味。その横にレタスとキュウリのサラダ(&マヨネーズ)、表面を焼いて香ばしくしたロールパンがおいてあるのだ。まさに大人のお子様ランチ。ハンバーグに日の丸立ててくれー! と叫びたくなるでしょ?

ロールパンに切れ目が入れてあるので、そこにサラダを挟んでサラダサンドにしてもいいし、ハンバーグを挟んでハンバーガーにしてもいい。ナポリタンを挟んで焼きそばサンド風にすることもできる。まずはそれを楽しむのが掟。次にハンバーグ。これも本格的でありながら、懐かしい味付けで郷愁をそそる味。これをおかずにナポリタンを食べる。このナポリタンがね、うまいわけ。

子供のころボクたちが身をよじって憧れた「喫茶店のナポリタン・スパゲティ」がまさにそこにある。熱々でちゅるちゅるでケチャップ色に輝いている。ピーマンが入っていないことで評価が二分されるかもしれないが、ボクは「正調喫茶店ナポリタンにピーマンはいらないのではないか」派なので気にならない。うまさとチープさと懐かしさ、この三つのミックス度合いがまさに絶妙。

そのひと皿を食べた後、自家製プリンが出てきて、最後にドリンク。これで締めて1020円。食後のドリンクにゆっくり時間をかけて、オジサン達が溜まっている。こういうホッとできる昭和な空間、もうあまりないものね。テレビがついていて音もうるさめだけど、なぜか耳に入ってこないというか、あの空間に馴染みすぎていてあまり気にならない。

まだアルデンテなんて言葉がなかったころのナポリタンが味わえるこの店は、店名の通り、新橋駅前ビル1号館(汐留側)にある(“ポンヌフ”とはフランス語で“新橋”という意味)。ふと心をゆるめたいとき。ふと昭和恋々な気分におちいったとき。ふと給食味を求めたくなったとき。ふと喫茶店のナポリタンを味わいたくなったとき……。そんなときに使うと非常に満足度の高い店なのだ。

店データ

カフェテラス ポンヌフ
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館1階
Tel:03-3572-5346
9:30〜19:30
日休

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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