このページの本文へ
ここから本文です

キッチン ブルドック(大井町)〜健診前には食べてはいけない、巨大メンチカツ

2005年10月17日

あぁ、“アレ”が食べたい。でも食べてはいけない。食べたら胃にすべての血が集まってしまい、確実に午後の仕事に差し支える。そのうえ、確実に太る。悪玉コレステロールも溜まる。健診の数値は確実に悪くなる。でも食べたい。どうしても食べたい…。

そんな食事ってありますよね? もちろん、夜中まで飲んだ後のラーメンとか吉野家とかも相当ヤバイけど、正当な時間に正当なものを食べているのに、「これは実に健康によろしくないのではないか」と思ってしまう食事。

今日ご紹介する大井町の「ブルドック」という洋食レストランのメンチカツ定食はまさにそういう料理なのである(英語だと「Bulldog」だが、カタカナになると「グ」から濁点がなくなり「ブルドック」となる。たしかブルドックソースも同じパターンだったと思うが、関係があるかどうかは不明)。ボクはここのメンチを食べるなら健診直後と決めている。年に1回、健診直後に「まぁ当分血液検査もないし、後ろめたくなく、あのメンチカツを食べられるじゃん!」と自分を許す感じなのである。

だってね、このメンチカツ、まず異様にでかいのだ。たぶん実際に計ると縦15センチ、横20センチ以上はある。普通のメンチカツの倍以上だ。比喩するならば、それは卓球のラケットほどもある。しかもペンホールドではなくシェイクハンド。あのラケット面を想像してくださればよい。そのうえ厚さもたっぷりとあり、初めて見る方は誰でも「なに〜!?」と驚く量なのだ。そして油がギトギト。なんというか「油物=滋養豊富な食物」だった昭和中期、チキンラーメンや肝油で油分を補給していたころのギトギト礼賛系を思い出す。現代の「女性にこにこヘルシー系」とは一線も二線も画す。

なんつうか、「これ1枚で1日分のカロリー取りましたー」という感じなのだ。んでもって香りがくどい。一口囓ると肉汁もあふれ出し、うわー、この肉って相当ジャンクー! と確信させてくれるような香りが口中一杯に広がるのである。でもね、このジャンク感こそ、実はメンチカツの生命線だとボクは思っている。お上品なメンチカツなどいらない。オレはまさにこういうジャンクな味が喰いたかったのだぁ! と叫んでしまうようなメンチ魂(?)がここには込められている気がする。

そのうえ、このメンチカツにはトマトケチャップ系デミグラス・ソースがたっぷりかかっているのだが、そのせいでとっても懐かしい味がする。なんとも「昭和」な味なのだ。そして、この洋食屋さん自体、相当「昭和」である。立地がすごい。JR大井町駅を降りてすぐに東小路という、戦後闇市みたいな雰囲気を今に残す小路がある。その路地で、昔ながらの雰囲気を保って営業している。看板に「大井一うまい やすい」と書かれているのも怪しい雰囲気。一見さんだと、中に入るのもためらわれる外観と内装なのだ。

店内は相当雑然としていて、清潔感はあまりない。でも長年いろんなお客に愛されてきた歴史が壁や床やテーブルに染みついていて、なんとも落ち着ける。日替わり定食を始め、メニューが豊富で、全メニュー制覇をしてみたくなるほど魅力的。この前同じテーブルの客が頼んだカレーライスを見たが、これがまた懐かしい「真っ黄色なカレー」だった。あぁ、ボンカレーの色、昭和の色だ。次はあれを頼んでみよう。

ちなみにメンチカツ定食は巨大メンチカツと、その下に一面に敷いてあるキャベツ、ポテトサラダひと盛りと豚汁、それにご飯の大盛りがついて1090円。この量を考えると決して高くないが、「大井一やすい」かどうかは微妙ですね。でもボクはいつもこれを頼んでしまう。初めての方はまずコレを頼んでみよう。できれば健診のあとに、ね。

店データ

キッチン ブルドック
東京都品川区東大井5-4-13
Tel:03-3471-6709
11:20 〜 21:05
水・第3木休

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る