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きっど(銀座)〜これぞ定食!な豚ナスピー

2005年7月4日

階段を下りながら「今日はどっちに行くのだ?」と自問する。

下りきって入口入ってもまだ決まらない。どっちだ。どっちで昼メシを食べるのだ。んー右から回れば「きっど」。左から回れば「SHIZU」。どっちもカウンターのみの小さな店でとても似ている。どっちもうまい。どっちも喰いたい。あ〜!いったいどっちに行けばいいのだ!

と、ボクが毎回迷うその場所は、有楽町駅からほど近い、数寄屋橋の東芝ビルである。本好きには「旭屋書店が入っているビル」と言った方がわかりやすいかもしれない。そこの地下1階はレストラン街になっていて、いろいろおいしい店があるのだが、中でも「きっど」と「SHIZU」の2店は珠玉の定食屋さんなのである。地下に向かう階段でマジでいっつも迷うのだ。

さんざん迷ったあげく、どっちかというと「きっど」に入ることが多いかな。それはなんといってもここの「豚ナスピー」が大好きだからである。「SHIZU」のおいしい定食群も魅力なのだけど、階段を下りた時点でなんだかあのピリ辛味の「豚ナスピー」を食べたくなってしまうのだ。

その字の通り、豚ナスピーとは、豚肉とナスとピーマンを炒めた料理である。いい塩梅のソース味でピリ辛風味。ぷりぷりのおいしい豚と気持ちよく油を吸ったナス、そこにパリパリのピーマンが効いている。これを大盛りのご飯でかき込むと「これぞ定食!」的快感に打ち震えるのである。そりゃ一般的な焼き魚定食も焼き肉定食もハンバーグ定食も「これぞ定食!」ですよ。でも、なんというか、誤解を恐れずに言うと「どこかでブルーカラー的なニュアンスがあること」がボクの中の「これぞ定食!」なのだ。ガテン系の人々がおかずとメシをわしわしかき込むようなイメージ。そんな快感に満ちている定食にボクは打ち震える。そして「あぁ喰ったぁ〜!」と至福に浸るのだ。「きっど」の豚ナスピー定食はこの快感に満ちている。東京でもトップクラスに満ちている。

この店の人気メニューは実は小鉢定食であったりするし、和風オムレツ、焼き魚など、他のメニューも相当おいしい。でも、まずは豚ナスピーを試して欲しい。そして食後の「なんだか活力溢れる感じ」を体験してほしい。暑い夏でもどんとこい!な美味なのである。

店データ

きっど
東京都中央区銀座5-2-1 東芝ビルB1
Tel:03-3574-6168
11:30 〜 21:00
土日祝休
地下鉄銀座線銀座駅の東芝ビル出口からすぐ。ちなみに豚ナスピー定食は950円。

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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