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ネスパ(人形町)〜コロペット、プリーズ!

2005年6月27日

東京転勤になった大阪勤務時代の上司と昼前にメシ談義をしていたときのことである。

「そういえば、ネスパが東京に出来たの知っとるか?」
「はい。出来たみたいですね」
「わし、場所メモったけど、どっか行ってしもうたんや。さとなお知らんか?」
「たしか人形町だったと思いますけど」
「すぐ調べ。いまから行かへん?」
「いいっすねー。行きましょう!」

と盛り上がり、さっそく2人で出かけることになった。

「ネスパ」は大阪で1949年創業の老舗洋食店。東京に支店を出したのは2000年頃らしい。大阪でも一度引っ越している。北新地にあった古い店舗の時は中でふたつに分かれていて、素っ気なくも趣ある店内はいかにも古い洋食屋っぽくて良かった。その後大阪の堂島に引っ越してからはわりと普通の店っぽくなったが、相変わらずうまかったからよく通った。考えてみたらボクは約20年もここのコロペットを食べていることになる。

そう、この店「ネスパ」の名物料理は「コロペット」といい、登録商標料理である。牛肉コロペット、海老コロペット、豚肉コロペット、鶏肉コロペットと具を選べるのだが、初めてだったら「盛り合わせコロペット」がオススメ。この中からふたつを選んで1100円である。

ボクは海老コロペットと豚肉コロペットを選んで盛り合わせることが多い。コロペットとはクリームコロッケとカツの中間のような一品。エバミルクで作った白ソースを牛肉などの具で包み、パン粉で揚げた料理である。白ソースを、薄切りした二枚の肉で挟んで揚げてあるのだ(海老コロペットのみ挟まない)。エバミルクを使っているせいか味が濃厚。だからソース類は何もつけずそのまま食べる。揚げは上品な薄味で白ソースの味を邪魔しない。カツの香ばしさとクリームコロッケの濃厚さがいい感じにミックスされていると想像してくださればだいたいはずれないだろう。

これにライス(150円)をつけてもいいが、ボクはこれにハヤシライス(これまた独特の古い洋食味でとてもうまいのだ。750円)かチキンライス(典型的なチキンライスで意外とこういうのは少ない。650円)をつける。1800円前後してしまうし、腹一杯になって午後からの仕事に差し支えるのだが、満足度はとても高いのである。

「んーーー…。やっぱ盛り合わせコロペットやなぁ。牛と鶏な。それとハヤシライス!」
「ですねぇ…。ボクは海老と豚。それとチキンライス!」

店にたどり着いたボクたちは、当然のようにコロペットを頼んだ。実はコロペット以外にも沢山メニューがある店で、魅力的な品名がゴマンと並んでいるのだが、この店ではどうしてもコロペットを頼みたくなる。

久しぶりに食べるコロペット…。ナイフを入れると白ソースがとろっと溢れだし、こってりうまい。それと絡んだ具はむっちりうまい。おお、なんて懐かしい。大阪そのまんまの味ではないか。ハヤシもチキンも大阪のまま。うれしいなぁ。うまいなぁ…。

実は大阪店の欠点は水とライスであった。コロペットはうまいけど、基本である水とライスがいまひとつだった。東京店はそれも改善されている。これなら大丈夫。オススメできる。人形町近辺にお出かけの際は、ぜひ、大阪の老舗のこってりコロペットを味わって欲しい。

店データ

ネスパ
東京都中央区日本橋人形町1-1-22
Tel:03-5640-1011
11:00 〜 15:00/17:00 〜 22:00
日休
日本橋小学校と東京穀物商品取引所の間。地下鉄人形町のA2の出口が近い。

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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