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チャモロ(恵比寿) ふわっふわのオムライス

2005年4月25日

オムライスには困ったものだ。

ボクだけであろうか。洋食屋でメニューにオムライスがあると、ハンバーグとかカキフライのご飯役に思わずオムライスを頼んでしまうのは。オムライスさえなければ、白いご飯でサササと健康的に食べるのである。オムライスがメニューにあるばっかりにカロリー的にも財布的にも痛い目に遭う。

「えーと、じゃぁミックスフライ定食……いや、ちょっと待って……ん〜、やっぱり、ミックスフライ単品に、オムライス!」とかいうお馬鹿なオーダーをしてしまい、お腹が一杯になりすぎて午後の仕事が手につかないという愚をよく犯す。でも食べたい。どうしても食べたい。午後の仕事より目の前のオムライスこそ大事なのだ!…と思わず逆上してしまうような、そんな魅力光線をメニュー上の「オムライス」という文字列は放っているのである。

って、まぁそんな具合にオムライス好きなボクとしては、いくつかうまいオムライス店の手駒を持っている。その中のひとつを今回はご紹介しよう。恵比寿にある「レストラン・チャモロ」である。創業30年というから昭和50年ころから長くやっている小さな地下の店である。

昭和時代ってオムライスにちょっぴり贅沢な匂いがあったよね。ここのオムライスはそんな「懐かしい贅沢なニュアンス」がきちんと感じられるうれしい一品だ。古い喫茶店みたいな暗い店内で、郷愁そそるそれを食べていると、子供のころ感じたハレの気分まで蘇ってくる。

「ヨード卵光」のLLサイズを4個使用し、ふわっふわのトロットロに仕上げたそれは、口の中で綿アメのようにとろける。舌で上顎に向かって押しつけると卵の香りがぷ〜んと広がる。薄く固い生地で包む系のオムライスでは感じられない快感。そう、卵の香りがちゃんとするオムライスって意外と少ないのだ。んでもって量もたっぷりあるのに食べ終わってから意外とあっさり胃にもたれないのもうれしい。デミグラスソースがしつこくない。これも大事な要素である。

メニューには「粗挽きソーセージ・オムライス」と「カニクリームコロッケ・オムライス」の二種があり、どちらもサラダ・味噌汁付きで980円。他にハヤシライスやボルシチや豚ヒレカツカレーやハンバーグなどもあるが、この店ではやはりオムライスを頼むのが王道だ。

どんどん新しくオシャレになっていく街、恵比寿。この街って、使い勝手の良いカフェや小洒落た店、ファストフードなどはたくさんあっても、男が唸る昼メシ処が意外と少ない。仕方ねぇなぁとかつぶやいて大量生産系の空しい食事をするのはやめて、「レストラン・チャモロ」のような、街とともに長く生きてきた店で昼メシを食べよう。きっと流行の店とはまた違う豊かな気持ちになれるはずである。

店データ

レストラン・チャモロ
東京都渋谷区恵比寿1-2-8 雨宮ビル B1F
Tel:03-3710-7631
11:30 〜 15:00/17:30〜22:30
JR恵比寿駅西口から駒沢通りを中目黒方面に進み、「恵比寿南」の信号(ひとつ目)を左。すぐの地下。

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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