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ただ、ボクはなぜかここに行くと1400円の刺身定食を頼んでしまう。なんとなく刺身が似合う内装なのだよ。それも13時前のすいた時間に行くのがいい。仕事でイラついた心を静かにしてくれる最上の空間だ。古びてはいるが清潔で落ち着いた空間。突き出しから軽いデザートまで気配りは上々。サービスも丁寧で親切。ご飯と味噌汁、漬け物の出来がいいのも素晴らしい。こういう空間でゆっくり昼メシを食べてお茶でもすすると、なんか「渋い大人」として落ち着いて午後の仕事に立ち向かえる気がする。

あえて言えば量がちょっと少ないのだが、それもヘルシーと考えればうれしい限り。おばあちゃんがレジを守っていて「お釣りがないようにしてください」とかちょっと細かいのだがそれも愛嬌のうち。銀座でひとり心静かかつ上品にランチをいただきたいときの定番として覚えておきたい。

  •  「銀座かぁ…、とっても渋い一軒家の和食の店知ってるけど、行く?」
  •  「えー、高そう」
  •  「大丈夫。安くてうまい。気持ちいい」

なんて、ちょっと自慢できる逸店だ。手帳にメモっておこう。

店データ

むとう
東京都中央区銀座6-4-16/03-3571-0723/日祝休

さとなお

本名:佐藤 尚之。1961年東京生まれ。本職は広告会社のクリエーティブ・ディレクター。

1995年、個人サイト「www.さとなお.com」を立ちあげ、現在約1000万アクセス。ネット上での活動をきっかけに出版や連載を手がけるようになる。著書に「うまひゃひゃさぬきうどん」「ジバラン・フレンチレストランガイド」「さとなおの自腹で満足!」「沖縄やぎ地獄」「沖縄上手な旅ごはん」など。最新刊はエッセイ集「人生ピロピロ」(角川文庫)。今年は鮨の本なども予定中。

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