直木賞候補作紹介
池井戸 潤『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社)
トレーラーのタイヤ脱輪事故の巻き添えとなって主婦が死んだ。原因は運送会社による「整備不良」とされたが、その裏には、財閥系有名自動車メーカーによるリコール隠しがあった…。
加害者として追いつめられ、資金繰りも困難となった中小運送会社の社長が真相を暴こうと奔走する苦難。自動車メーカー内部の人事をめぐる駆け引き。グループ企業として、自動車メーカーに融資する銀行内部のパワーゲームと、そこから透けて見える大企業の異常な論理などなど。事件にかかわる人々のドラマを多視点で描く。
荻原 浩『四度目の氷河期』(新潮社)
父親を知らず、同じ年ごろの子どもたちとのコミュニケーションにも不器用で、幼いころから世界に違和感を持ちながら生きて来た少年ワタル。周囲とあまりにも違う身体感覚や色彩感覚を持つことから「ぼくははるか昔に滅びたクロマニヨン人の子どもなのだ」と思い込み、それをアイデンティティとして成長していく。
やがて思春期を向かえ、ガールフレンドとの交流、母親の死、本当の父親は誰だったのかを知るなかで「自分は自分でしかない」という確信に至る。
北村 薫『ひとがた流し』(朝日新聞社)
アナウンサーの千波、作家の牧子、今は写真家の夫をマネジメントする元編集者の美々は、十代のころからの仲良し。千波は独身で、牧子は娘1人を持つシングルマザー。美々は再婚で、やはり娘が1人いる。40歳を過ぎた彼女たちは、今では家族を含めた交流をしている。
そんななか、ニュース番組のキャスターに抜擢されたばかりの千波が重い病にかかっていることが発覚する。
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