
豊崎 最後が森絵都の短編集。
大森 これは大本命ですよ。
豊崎 分かります、うまいですもん。
大森 直木賞対策もばっちり。
いちど「いつかパラソルの下で」で候補になって落選(133回)、軽いだけじゃ直木賞は取れないという反省を踏まえて、これを書いた。村山由佳が従軍慰安婦問題を絡めた「星々の舟」で受賞した例とかを参考にしたんですかね。しっかり社会問題を扱った短編を書いて…
豊崎 難民キャンプとかね。
大森 そう、それを短編集の表題作にした。僕はこの表題作が大嫌いなんですけどね(笑)。国連難民高等弁務官事務所に務める専門職のかっこいい男と事務職の女の社会派ラブストーリー。難民を救うために働くことを、風に舞うビニールシートをいっしょうけんめい押さえることに喩える(たとえる)あたりもベタベタです。でもまあ、それも致し方ない、直木賞を取るための戦略ですから。そういうものとしてはよくできてるし。
豊崎 わたしは「守護神」が好きだったなあ。大学生のレポート代筆の話。
大森 僕がすごいなと思ったのは「鐘の音」。
豊崎 わたしは、純文学をまねして書いてみたら逆に通俗的になっちゃいましたって感じがして、あまり好感を持てなかったんですけど。
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