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第135回 直木賞レース予想(前編)

2006年7月10日

(アライ ユキコ=フリー編集者)

貫井 徳郎『愚行録』

大森 (予想、評価の表を見比べて)なんだ、ほとんどおんなじじゃん。ちぇ。

豊崎 ねーっ。で、わたしは今回は2作受賞じゃないかと思うんですよ。

大森 うん。たぶんそう。

豊崎 大森さんは、森絵都と伊坂幸太郎さん?

大森 森絵都が大本命で、あとはその相手探しなんですよ。

豊崎 なるほど。森絵都さんを固定するとしたら、わたしは古処誠二さんだと思うんですよね。作風がまったく違う人と組み合わせるんじゃないかと。

大森 その組み合わせも充分あるね。

ちなみになぜ2作かというと、第131回からこの間の134回まで、4回連続で文藝春秋の本だけが受賞している。さすがに5回連続で文春単独の受賞はないだろうと。だから、森絵都が入る場合は、どれか他社の本と併せて2作受賞になる可能性が高い。

ただね、文春から受賞作が出ない場合は、もう一個パターンがあって、それは他社本2作の同時受賞。いちばん最近だと、130回の「号泣する準備はできていた」(江國香織/新潮社)と、「後巷説百物語」(京極夏彦/角川書店)のケース。

豊崎 じゃあどれ?(表を見直し)森さんは文藝春秋なのか…。あ、古処さんは新潮社で、伊坂さんは実業之日本社。じゃあ、この2作が来る?

大森 薄いと思うけど、その可能性もある。そこまで押さえるなら、森、伊坂、古処の3点ボックス買い推奨。買い目は、森‐伊坂、森‐古処、伊坂‐古処の3通り。

豊崎 それ、でも、オッズつかなすぎ。予想は当たっても、投資に配当が追いつかないってヤツですね。まあ、そういう意味では、直木賞は今年のワールドカップと一緒ですね。意外性はなく、順当なチームが勝ち上がっていくという。この3作だったらどれが取っても不思議はないんですから。

大森 大穴狙いなら、山本周五郎賞をすでに取ってる「安徳天皇漂海記」もあるよ。

豊崎 はいはい、今回の直木賞候補作は粒がそろってます。んが、しかーし、そんな中、1冊の例外がございます。貫井徳郎の「愚行録」! なんでこんなもんが候補になっちゃったの?

大森 前回、東野圭吾が6回目にして「容疑者Xの献身」でめでたく直木賞候補を卒業したので、新入生を入れたんでしょう。

豊崎 貫井さんは、本格ミステリ界からの新しい生贄(いけにえ)だと?

next: 数年のうちに直木賞を取れそうなミステリ作家に唾をつけておく…

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